朝になれば
翌朝。
この日、香は前日の酒の影響もあり、少し寝過ごしてしまった。急いで支度をし、朝明に电话をかける。
电话に出たのは、李美だった。
「すみません、寝坊しました」
『ははは。珍しいね。気を付けておいで』
「本当すみません」
謝り倒し、香は电话を切った。
この日もいつもと変わらない日。そう思って、戸を開けた時だった。
「李香だな?」
「えっ……」
○●○
「来ない……」
李美は顎に手を当てる。李ちゃんから遅刻の电话をもらい、2小时が経った。
勤務時間はもうとうに過ぎた。周りの皆はもう仕事を終えている。
「仕事を投げ出したんでしょうか」
王が呟いた。
「李ちゃんに限ってありえないわよ」
李美は即座に否定した。李は、誰よりも真面目で、働き者だ。恋人の宇春の手前、仕事を投げ出すことはありえない。清掃員の中からも、真面目な李が仕事を投げ出すわけがないとの声が上がる。
「どうしましょう」
と、思ったときだった。
扉が開き、覆面で背の高い男たちが入ってくる。
手には銃を握っていた。
李美たちは、思わず身をすくめる。
「李香の仲間だな?」
集団の先頭に立つ男が言う。李美の額に銃口を突きつけている。
「誰ですか、知りません」
「嘘つけ!潜伏していることは、もう分かってんだ」
「潜伏……?そんな人いません」
男と李美の押し問答は止まらない。みかねた集団の中の1人が男を窘める。長い髪に、女性らしい顔立ち。女性かと思ったが、声色から男だと李美は気付いた。
「この男に見覚えはありませんか?」
李美は1枚の写真を受け取る。
「え、」
そこに映っていたのは、見知らぬ制服姿で眉間に皺を寄せて映る、紛れもなく李ちゃんだった。
「どういうこと……?」
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