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謎の電話
「はい。大丈夫です」
物陰で、電話をしていた。
「問題ありません。申請待ちです」
『まだ結果は』
「出てません」
『わかった』
電話口にバレないように、息を吐いた。
○●○
かなり前にその一報を聞いた。
「朝明に凰の官僚が潜伏している。脱国を試みている」
一報を受け、自分はつてを駆使して当該人物を報告した。国からは、報酬金はたんまり弾むと言ってもらった。みすみす報酬金を逃すわけがない。
ニヤリと笑みが溢れた。
朝明の当の本人は、どこからか漏れ出ていることに、当の本人は気づいていなかった。つくづく莫迦だなって思う。
『当面は泳がせろ』
上司はそう言い残すと、電話を切った。