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スパイの男   作者: Suzura
30/43

甘味屋


「俺買い物だけしてくから、先帰ってて」


飯屋を出た後、白月は街へ消えていった。


「煙管だろうね」


宇春が少し呆れた目で後ろ姿を見ていた。


「さ、帰ろう」


宇春と香は歩き出した。

お昼時の风蓝は、人がいつもより多かった。


東亜の甘味屋を摸した店で、宇春が立ち止まる。


「少し寄り道してく?」


宇春は、甘味屋に入りたそうな眼差しで香を見つめる。

香はやはり宇春には女優の才能があるのではないかと思った。可愛らしい表情をするのがどうにも上手い。


「行こうか」


香は思わず笑った。宇春は嬉しそうに笑う。


○●○


甘味屋の中は少し空いていた。

 

命令ちゅうもんを済ませ、ふうっとため息を吐く。

宇春は練り切り、香は金鍔きんつば命令ちゅうもんした。


「東亜の国の文化もあるんだね」


香が口を開く。


「いろんな国の人が居るからね~」


しばらく沈黙が流れる。


「宇春、さっきの話って」

「ああ、白月のこと?」

「うん」

「大抵合ってる。大学諦めたのも事実だし」

「そうなんだ……」

「でも後悔はしてない」

「……」

「朝明でいろんな人に会えて、楽しい」

「そっか」


少しして、練り切りと金鍔がくる。


「美味しい〜!」


あまりに美味しそうに練り切りを頬張るので、香は少し驚いた。「一口、食べる?」と言われたけども、さすがにそれは断った。


金鍔きんつば……」


香自身、金鍔きんつばを見たのはこれが初めてだった。口に含むと、甘さは控えめだが、上品な甘みが口の中に広がる。


「おいしい」


自然と口からこぼれ出た。宇春はいたずらを覚えた子供のように笑う。


「でしょ?」

「うん」


凰では食べられなかった味だ。


(すごいな)



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