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スパイの男   作者: Suzura
3/43

被疑者


风蓝の街は、人が多く行き交っていた。

張多曰く、风蓝は観光客しかいないという。


とりあえず、情報収集も兼ねて、近場の飯店に入ることにした。


「搾菜と粥で」

「あいよー」


あっけらかんとした店主の老婆が返す。凰を出て、早、半日。家で最後に夕食を取ってから、香はまだ何も口にしていなかった。


(それだけではない)


老婆がご飯を差し出し、口を開く。


「兄ちゃん、観光客かい?」 

「あ、ええ」

「そうか。风蓝はね、良いところだよ~」

「そうなんですね」

ズー湖とかが有名だけどね、海辺から見える夕陽が綺麗なんだよ。ドラマの撮影でよく使われるんだ」

「へえ」

「兄ちゃん、今日はどこに泊まる予定だい?」


(きた)


朝明チャオミンという宿で……でも、場所が分からなくて」

「朝明か、ここから5分、東に歩いたとこだよ」

「へえ」

「あそこの主の娘さん、良い子なんだよね」

「娘さん?」

「お父さんと娘さんの2人でずっと頑張ってるの」

「そうなんですね」

「娘さんの名前、宇春ユーチェっていうんだけど、爸爸パパのためにっていつも言ってるのよ。ヂィンさんも、良い娘さんに恵まれて、羨ましい限りよ」

ヂィンさん」

「ええ。雀静チュエヂィンさん」


香は冷静な面持ちだった。なるべく怪しまれないように。


雀静チュエヂィン……)


国家任務あんけんの被疑者だった。

大規模国家機密漏洩事件で処刑された男の関係者で、警察からマークされている。


香は店を出ると、怪しまれないように朝明に向かった。現在の時間はおおよそ下午两点ごごにじ


(行くか)


朝明チャオミンは、朱色の外壁に、銀色の装飾。

2階建ての小さな建物だった。


「予約した、朴琳パクリンです」

「お待ちしておりました」


受付に着く。香は適当に受付を済ませた。


「お客様、いらっしゃいませ。ようこそ、朝明へ」


丁寧で穏和な声が響く。


「支配人の雀静チュエヂィンと申します」


雀静と名乗るその男は、顔を上げると、ゆっくりと笑みを浮かべた。香は悟られないように息を呑んだ。

ご覧頂き、ありがとうございます!!!!

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