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スパイの男   作者: Suzura
22/43

協力 2


「えっと」


オロオロとする香をよそに、静が口を開く。


「在留資格の届けはもらってきた」

「そうなんだ、あとは書いて出すだけか」


宇春が顎に手を当てる。


「身元保証人は?」

「私がなるよ」

「お父さんが?」

「うん」

「分かった。……香さん、一通りは聞いた?」

「聞きました」

「それなら話は早いね」


香はただ口を開けたままポカンとしていた。


「書類書いたら誰が出す?」


宇春が言った。


「私が出すよ」

「分かった。あとは、鳳での暮らしだね」

「暮らし……」


香が俯く。宇春が口を開いた。


「うちで働くのはどう?」

「え?!」

「確かに、いいな」


静が頷いた。


「ちょうど1人、住み込みで働いてくれてた掃除の人がやめちゃったから。どう?香さん」

「いいんですか?」

「もちろん。掃除の人には話しておくから」


ニコッと微笑む宇春と対照的に、香は浮かない顔をしていた。


「嫌かな……?」


静が様子を伺う。


「全然!ただ」


香がブンブンと首を振って否定する。静と宇春が続く言葉を気にするような表情を浮かべていた。


「申し訳ないなって」


香の言葉を聞くと、2人はフフッと笑った。


「もー、それは無しだよ」

「そうだね。申し訳なさは感じないでいいよ」

「……ありがとうございます」

「その代わり、しっかり働いてね?」


冗談めかして宇春が笑う。3人の間を流れる空気はいつしか優しくなり、和やかになった。


少しお酒もたしなみながら、談笑していた。


静が口を開く。


「旅館では、違う名前で呼ぶようにしたいね」

「確かに。本名とか偽名だとバレちゃうし」

「香さん、旅館ではリーでいいかな?」

「はい、」

「分かった」


その日、少しお酒を嗜んだ3人は朝明へと帰った。

翌日、在留資格の届けを出し、香の潜伏生活が始まった。

ご覧頂きありがとうございます!!

気が向いたら覗いていただけると嬉しいです!

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