表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スパイの男   作者: Suzura
15/43

回顧



「朴さま」


一緒に居ると怪しまれるので、別々に朝明に戻った。朝明の正面に回ると、宇春が箒で掃除をしていた。


香は思わず宇春に釘付けになる。いつもは1つで髪をまとめ上げているが、今日はお下げ髪だった。


「お部屋戻られますか?」

「ええ、まあ」

「かしこまりました」


香は、ハッと我に返り、部屋に財布と支給された携帯を取りに帰った。


○●○


時は少し遡る。


朴琳さまは本当は違う名前だという。


宇春は静から昨日の夜、知らされた。朝明では、稀にスパイらしき客が泊まりに来ることがある。なのでそう珍しい話ではない。ただ、宇春が引っかかっていたのは、朴さまの出身地だった。


「凰の出身なんだ……朴さま」


宇春自身、記憶はないが昔、凰に住んでいたらしい。

若き日の父、静は私を連れ、柵を超え脱国した。


凰に居た頃の記憶はない。その頃の写真を見ても、何も覚えていない。


「小さかったから……なのかな」


私には、母が居たらしい。名は雀水月。


脱国できずに、柵を超える前に憲兵に撃たれたと聞いているが、よく覚えていない。暗闇を彷徨っていて、目を覚ました時には、茅葺き屋根が見え、誰かに看病されていた。なぜか体は動かなかった。


(頭が痛くなってくる……)


宇春は考え込むのを止め、箒を掃いた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ