準備
「お久しぶりです」
静はその夜、自室でとある人物に电话をかけていた。
『久しぶりですね、お変わりありませんか』
「おかげさまで。娘も元気にしていますよ」
『それは良かった』
「出租车の仕事は慣れましたか?」
『おかげさまで。ぼちぼちです。それより、何かありましたか?』
「実は……張多さんに頼みたいことがありまして」
『そうですか、聞きましょう』
静は电话を切ると、伸びをする。開いた窓から外を見る。风蓝の街は今日も変わらず、眠らない。
静は大きく息を吐いた。
○●○
翌朝。
まだ日が上らぬ時間帯に、朝明の裏手にある茂みに静と香は集まっていた。
「できれば、これからは証拠の残らないやり取りをしましょう」
「はい」
「私の手机をお貸ししますから、私とのやり取りはこれを使ってください」
「ありがとうございます」
静のスマホを受け取る。
「使い方は分かりますね?」
「ある程度は」
「分からなかったから聞いてください。……で、やり取りはこのアプリを使ってください」
「これって」
「やり取りがある程度経つと消えるアプリです」
「そんなのあるんですね……」
「海外のアプリだそうです。最近この国にも入ってきたんですよ」
「なるほど」
「香さん」
「はい」
静は香と向き合う。
「本当に良いんですね?」
真剣な目で香が返した。
「……はい。やります」
「信じますよ?」
「お願いします」
「分かりました」
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