天界にて 神様に会うって定番だよね。
三重県四日市の酒蔵の神楽、濁り生酒、シュワシュワしていて癖になるよ。
つまみは、たこ焼きにちーかまの残りでした。
いやー、これは良い酒だ。
ちなみに、三重県四日市の神楽を作っている酒造は、一度終わらせようとしたそうだが、熱心なファンに支えられて続けることになったそうだ。
他のも飲んだことがあるけど、日本酒度が高く感じで好き嫌いはハッキリ分かれそう。
いかにもな展開で天界におることになったワシ、目の前に神様らしき方がおられる。
これでも、昔は上司の顔色を窺い、ゴマを擦り持ち上げてきた歴戦の戦士神対応を見せてくれよう。
「…………」
「……………………」
何故何も言わん?
せめてとっかかりがないとやりにくいのだが。
「……あー、死因は?」
え? 何を聞かれた?
死因? あ、そうかワシ死んだんだよな。
それなら死因はあるわけで。
「えっとですね、なんというかトラックにはねられたみたいで、そこから意識がここからしか。」
「名前は?」
お、終わり?
もうちょい何か聞かんか?
それに、その手に持っている資料っぽいもの、ワシの経歴じゃあないのだろうか?
「ああ、いいや地殻 万寿夫ね、分かった。
管理職で、それならこういうのがいいかな。」
パチリ
指を鳴らすと、景色が一変する。
如何にも天界という風景は変わらず、神は重役が座るような机に、革張りの椅子に腰かけて腕を組み、組んだ腕に顎をのせる。
いわゆるゲン〇ーポーズというやつだろうか。
ワシはアニメも詳しいのだ。
そして、ワシはパイプ椅子に座っている。
いつの間に、流石神ということだろうか。
「えっと、そんで希望はなんかある?」
「その前に、1つ質問よろしいでしょうか?」
よくある転生もので気になる事がどうしても1つあって尋ねずにはおれんかったのだが、これは間違いだった。
明らかに、機嫌が悪くなっている。
貧乏ゆすりが加わった。
「なぁ、あんたよく新人に質問に質問を返すなとか言わなかったか?
俺もその手のやりとり嫌いなんだわ。
わかる? 俺も無駄嫌いなの?」
ああ、確かにこれはある。
質問に質問を返す、これは悪手だ。
相手の話を聞いていないことだし、自分のことを最優先にしてしまっている。
相手が上の立場なのに、こんなことを言うなんて愚かだった。
「いえ、すいません。
私が間違っていました。」
こういうときは、さっさと謝るに限る。
プライドなんぞ、犬に喰わせておけ!!
「あー、いいよ。
そこまで怒っていないから、聞きたいこと聞いてみ?」
ここで、下手に問答するのも悪手。
それならストレートに聞いてしまった方が早い。
「いえ、神だと理解しているのですが、よくある心を読むとかはしないのかと…………。」
神の顔から表情が消えた。
言って後悔した。
激怒している。
顔を見たら分かる。
あれは、激怒しているに相違ない。
「あのさ、人の心を読むってどういうことか分かる?
読むレベルは?
表層、中層、深層、無意識、主義主張、記憶やらなにやらどこまでよ。
そんな重いもの、俺にもたせようってか?
いやー、人間って偉いねぇぇぇぇぇ。」
しまった、やってしまった。
確かに、よく考えたら思考読むなんて便利とか思ったが、そのレベルがどこまでとか考えたことはなかった。
これは、地雷だと気づいて思考を切り替える。
「いえ、そのような無茶を言う訳ございません。
ただの好奇心でした。
心に障られたのなら、申し訳ございません。」
パイプ椅子から降りて、土下座せんばかりに深く礼をする。
初手土下座では、先がない。
まずは、深い礼での謝罪だ!
「ん~、まぁいいよ。
俺も神だから、そういやよくわかったね。
それに、死んだことも理解しているんだね。
んで、どうする、希望があれば聞くよ?」
これは聞くだけ聞くが叶えるというわけではないな。
まずは、ジャブだな。
無難なラノベ展開を言ってみるか。
「そうですね。
チートに能力もらって、異世界転生してヒャッハーな人生を送りたいですね。」
「はっはっはっは。」
「あははははは……。」
「まぁいいや、叶えてやるよ。
チート能力な。
えっと、サイコロでいっか。
3が出たから3個と。
もっかい降っておお、いいじゃん。
"アイテムボックス"
"鑑定"
"超速再生"
言語は、覚えるのも面倒だろうから、日本語を書き換えておいてやるよ。
俺って親切だろ。
異世界『ぶえっくしょん』いね。
すまんちょっと風邪気味でな。
新しい人生楽しんでくれや。」
いやちょっとまってくれ。
なんだこれ、いきなりきまったんだが。
後、転生?転移?どっちだ??
わざとか?わざとなのか??
文句を言おうとしたら、景色が一転する。
「すまんな。
俺も暇じゃないんでな、さっさと終わらせてもらった。」
そんな声が聞こえた気がしたようなしなかったような。
天界にて、神様とお話。
心を読むイベント。
チート能力。
そして、異世界! 経緯はどうあれ、テンプレだなぁw