表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

6話 お茶会

 ダリルの暴走をなんとか止めようと奔走するニシャだが、あっという間に二人の噂は広まっていく。


 そんな中、二人は団長のデューダに呼び出された。


「おう、噂のお二人さん」

「やめてくださいよ団長!こっちはうんざりしてるんですから」


 ニシャが慌てて言うと、デューダはチラリとダリルを見て笑う。


「こっちはそうでもなさそうだけどな」


「あまりにも急にダリルの様子がおかしくなったのは、あれか?もしかして男装がバレたか」


 その発言に、ダリルは思わず驚いてしまう。


「団長はご存知だったんですか?!」

「あぁ、俺はニシャが入団する際にニシャ父上様から聞かされてた。他の人間には秘密ということだったが、さすがに俺には言わざるを得なかったんだろう」


 あっけらかんと言うデューダに、ダリルはニシャの顔を見つめ、ニシャもムッとしながら頷いた。


「家の事情だから仕方ないんだろうけどな、俺は別に女だからって贔屓するつもりは全くない。騎士団の騎士としてしっかり教育してきてるつもりだ」


  ダリルを見つめる瞳は少し冷ややかささえ感じる。


「お前がこいつをどう思おうが勝手だ。だが、騎士団全体の士気を下げるような真似だけはするなよ。今日はそれを伝えたかった」


 言葉数は少ないが団長からの強いその言葉を、ダリルは一人噛み締めた。





 それから数日後。とある公爵家が開催するお茶会に、ニシャはエリーシャとして招かれていた。

そのお茶会はいつも令嬢達と騎士団の騎士達との交流の場として開かれており、ダリルは騎士として招かれていた。


 いつもは男装して騎士として振る舞うのが通常のニシャだが、母親の意向で令嬢としての立ち振舞いもしっかりと教え込まれている。


 エリーシャは体が弱くあまり人目には出てこないということになっているため、お茶会などに姿をあらわすとすぐに令嬢や騎士達に囲まれてしまうのだった。

 

 愛想笑いをしつつ適当に相槌をうちながら、エリーシャは内心疲れはてていた。


(もうやだ、窮屈すぎる。早く帰りたい)


「ねぇ、エリーシャ。あなたの弟さんとダリル様って最近噂になっているけど実際の所どうなのかしら?」


 令嬢の一人が他の騎士や令嬢と談笑しているダリルをチラッと見てからヒソヒソと話しかけてくる。


(どうしてこう令嬢達はみんな噂話が好きなのかしらね)


 ため息をつきたい気持ちを抑えつつ、エリーシャは微笑みを絶やさない。


「さぁ、ニシャは騎士としていつも忙しいみたいだし、私もあまり顔を見ていないから詳しいことはわからないわ」


(ま、そのニシャは私なんだけどね)


  ダリルを見ると、綺麗な令嬢の一人と話をしている。その顔はなんとなく嬉しそうに見えて、思わず胸の辺りがチクリと痛んだ。


(なんで胸が痛むのよ、別にダリルはただの友人じゃないか)


「エリーシャ嬢」


 突然後ろから声をかけられ振り返ると、そこには騎士のジャミルがいた。ジャミルは騎士の中でも指折りの男前で、そのルックスから女性との噂が絶えない。


「これはジャミル様」


 エリーシャが愛想笑いをすると、ジャミルがエリーシャの片手をそっと取って話かける。


「あなたがお茶会に来てくださるとは珍しいことです。せっかくこうして会えたのですから、ぜひ色々とお話をしたいのですが」


 二人っきりで、とそっと耳元で囁かれ、エリーシャは思わずゾッとした。







お読みいただきありがとうございます。二人の恋の行方を楽しんでいただけましたら、感想やブックマーク、いいね、☆☆☆☆☆等で応援していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ