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その日の夜
太郎は夕飯に何を食べようか決めかねていた。というのも港でお米と野菜、鯨肉を頂いたのだが再びカレーを食べるのもどうかと思っていた。
「うーん。調味料が無いんだよな。」
いっそのことプロテインで済ませてしまうかと思う太郎であるが自分の死因から考えるとご飯を作りたい。
「炒めるにしても塩胡椒が欲しいし、鍋でもな。…………鍋?」
プロテイン魔作成をふと開く。
漢のプロテイン 《《桜鍋味》》
「あ!」
プロテインを調味料にするこれは悪手かもしれない。だがやってみる価値はある。
「桜鍋。食ったことは無いがやるか!」
プロテイン魔作成より漢のプロテインを作戦します。
プロテインの缶がでる。
材料を切り刻み鍋に火をかけ最後に例のプロテインを入れる。
「香りは味噌だな。」
さあ実食
ズズズ
「味噌だけどなんだろう赤味噌の芋煮会を思い出す。この肉が豚だともっと上手いんだろうな。さっぱりしてるけどコクはあるけどなんか違う。」
芋煮会、東北の伝統的な行事と言えるものだが赤味噌は使う人はあまりいないだろう。どちらかといえば白味噌がよく使われる。
しかし太郎の実家では赤味噌だった。というのも父の好みだが。家庭の味は忘れられないものだ。そんな太郎の味覚は何処と無く今をもう戻れない実家での味を再現したくなるほどに近い味を感知していた。
「でも馬刺し食った時のような風味もするから赤身肉を選ぶべきだな。港のあっちゃんに明日聞くか。」
それから日課である筋トレを行っていく。
「998、999、1000……腕立て腹筋背筋スクワット終わり!次体幹。」
V字バランスから始まりブリッジの片足上げ、空気椅子、フライングドッグ等々欠かせない体幹トレーニングの数々をこなしていく。
「やっぱやっぱ寝る前の筋トレはいいな。」
寝る直前に筋トレをしてしまうと目覚めてしまう場合があるのだが元が小心者である太郎は案外、すぐに落ち着き寝ることができる。図太い性格とは違い太郎のような人の場合、筋肉トレーニングをしても肉体が疲れればすぐに睡眠欲が湧きベットに誘ってくれる。
「おっと運動後のプロテインを忘れていた。」
太郎は余っていた究極の筋肉を飲んだ。
これは各メーカーのプロテインにも記載されていることだが運動後、そして夜の寝る1時間前に飲むプロテインは身体に良いと言われている。
運動後は言うまでもなく身体が筋肉の素を欲するためで夜は肉体を休める際に使われるためだと言われている。
「ふう、本とかも一応あるんだな。これを読んでから寝ようか。」
こうして太郎の異世界生活初日を終えた。