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太郎は気がつくと暗闇の中にいた。


「俺は死んだとのか。」


ーそうだー


「ん、なんだ。そこに誰かいるのか?」


ーふむ。では見えるようにしてやろう。ー


暗闇から解放されると目の前に大王イカよりも大きなクジラサイズのタコがいた。


「私は筋肉を司る神だ。気軽に筋肉神とでも呼んでくれ。」


「はあ、しかし何故タコ?海鼠ではダメなのか?」


「お主の疑問は最もだ。海鼠もまた我と同じようにほぼ筋肉で出来ている。しかし海鼠には知能が私より乏しいのでな。それに獲物を狩る際に筋肉を一番使っているという理由でマダコであるこの私が選ばれたようだ。」


このタコ、マダコだったのかあと思いながら。今の状況に理解が追いついていない太郎。


「まあ、お主をここに呼んだのは砂糖味のプロテインを作成した功績を認めてのことだ。」


「はあ。」


「ちなみにお主の死因は糖分が脳に行き渡らなかったことによる脳死だ。お主はタンパク質ばかり摂取しておるせいで死んでしまったのだ。だから次の人生では栄養バランスの良い食事をするのだぞ。その方が筋肉もより良く動かせる。」


「え、俺ってそんな理由で死んだんですか!?」


「それ以外に何があると思ったのだ?」


「いや、過労とか。」


「ある意味ではお主の死因は過労だ。筋肉を動かすにしても糖分は必須、増してやお主の筋肉量なら尚のこと。お主は確かに立派な筋肉を手に入れた。だがお主の筋肉は外見だけの見てくれだ。筋肉は悲鳴を上げ脳に送るベき栄養まで搾り取った。それがお主の死因だ。」


「そうか、俺はプロテインを研究するあまり普段の食生活を忘れていたんだな。」


「そう次の人生では良い筋肉生活を祈っているよ。」


「うん?次の人生?」


「うむ、お主には別世界の神が管理する世界で生活してもらう。」


太郎に衝撃が起きた瞬間であった。


「あのう、次の人生って赤ん坊からですか?」


「ああ、紛らわしく言ってしまったな。今回はお主の功績によるものだから、今の肉体のままで転生してもらう。どちらかというと転移に近いと思うかもしれないが、あちらの世界ではこちらの世界の病原体が異なるのでな。お主の抗体と言語、文字に関する記憶をいじって別の世界に行ってもらうので転生という形になる。まあお主の筋肉はそのままだ。」


「して、私の功績というのはプロテインの砂糖味を作ったからということですがそれが何故功績に?」


「お主の作った砂糖味プロテインはお菓子などの砂糖の量を抑え、世界中の肥満率を低下させ食の改善に多いに役立った。それで死者も減ったしな。お主が簡単かつ手軽に扱えて量産を視野に入れたプロテインを作ったからこその功績だ。誇って良いぞ。」


「私が死んでからそのようなことが。」


「ていうかお主の素は既に見ておるからタメ口で良いぞ。儂もそんな偉くないしな。」


「じゃあ俺は別世界に転生?するんだが、プロテインはその世界にあるのか?」


「答えはNoだ。お前の行く世界にプロテインは無い。だがお主の功績に免じて好きな能力を1つ、功績に関する能力を1つ、前回の死因を予防できるようになる能力を1つ授けよう。」


「えっとつまり、プロテインに関する能力と栄養バランスとか食生活に関する能力が付いて、1つは自分で選べるってことか?」


「それで間違いは無い。功績を残して死んだ者は皆同じように別世界に行って貰っている。現在4名程お主の行く世界に居るな。今回は私が担当したが、功績によって担当する神は違う。」


「質問して良いか?」


「答えられる範囲なら良いぞ。」


「寿命で死んだ人はどうなるんだ。」


「そういうことか。別に不死になりはせんよ。不死は因果や精神に支障をきたす。故に叶えられん願いだ。さてそろそろ質問は終わりにしよう。君の選ぶ能力を選んでくれ。」


「うーん。じゃあ俺の功績に関する能力を強化することってできるか?」


「別に構わんが何故だ?」


「いや、多分俺の功績に関する能力だからプロテイン、もしくは最期に作った究極の筋肉の作成とかだと思うから。どうせならもっと色んなプロテインを作ってみたいんだよ。」


「ふむではそのようにしよう。では先ず君の死因を予防する能力を授けよう。」

筋肉神は納得がいったのか話を進める。


ピロン

太郎は<給食のおばちゃんの知恵>を手に入れた。


「給食のおばちゃんの知恵?」


「そうだ。給食には様々な栄養素がバランスよく考えられたメニューが入っている。それを元にお主の行く世界の全ての地域で栄養バランスの考えられた食事を取れるようにした調理と食材の目利きに関する補正効果の能力だ。」


「なんか、料理しないと行けないとか面倒くさいですね。」


「お主の死因はある種の栄養失調、あくまでも能力は予防を促すものだからやるかどうかは君のやる気次第だ。さて次はお主の功績及び望んだ能力を授けよう。」


筋肉神はそう言い8本の触手を掲げた。


「汝に授ける能力はプロテイン作成とプロテイン魔作成だ。」


「2つ?」


「うむ。お主の功績に関する能力はプロテイン作成だがあちらの世界には魔力があるのでな。あちらの世界の生物にはほとんどのものに魔力を含んでおる。プロテイン作成の場合は魔力を含ませずに作ることとなっている。故にプロテイン魔作成というのを追加で付与した。まあ別々の能力になってしまったがプロテイン魔作成はお主の思いつきや閃きで魔力によってプロテインを作成する能力だ。」


「そうですか。じゃあ俺も魔力ってのを使えるようになるのか?」


「ああお前の体をいじる際に魔力とあちらの世界の常識もつける。その中に一般人が使う程度の知識はつけてある。ただ専門家には及ばんのでな、そのあたりは自分で身につけてくれ。プロテイン魔作成に関しては例外的な魔力の使い方だから参考にはならないぞ。」


「ああ分かった。」


「もうそろそろ時間だしの。それでは少し眠っておけ目を覚ましたときは港のある町に居るはずだ。」


その言葉通り太郎は眠りについた。

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