FINAL ROUND! ~死ななきゃ安い~
【操作説明】
レバー操作(8方向):→↘↓↙←↖↑↗
パンチ:P(あるいは弱P、強P)
キック:K(あるいは弱K、強K)
挑発:STARTボタン
エクレア 技表
【特殊技】
←+弱K 踵落とし
(画面端で)ジャンプ中に↑or↗ 三角跳び
【必殺技】
↓↘→+P 暗黒サンダー
→↓↘+P 月刀ショコラ
↓↙←+K 斬刃トルテ
【超必殺技】
→←↙↓↘→+P ブラック・ライトニング
↓↙←↙↓↘→+P 昏疾駆・月刀ショコラ
【挑発】
STARTボタン押し 挑発 (スカートぴらっ)
↓+START しゃがみ挑発 (おっぱいぷるん)
↓↘→+START 前転挑発 (ドジっ娘)
↓↙←+START 後ろ挑発 (しな作り)
(空中可)↑+START ジャンプ挑発 (スカートパラシュート)
エビフライ 技表
【特殊技】
→+弱P モンゴリアンチョップ
↘+弱K 踏みつぶし
(近距離で)←or→+強P さば折り
【必殺技】
←タメ→+P 蒙古騎馬突進
↓タメ↑+K アルタイ山脈落とし
←↙↓↘→+弱P オーロラ掴み
←↙↓↘→+強P タルタル返し
→↘↓↙←→+P 巨人投げ
【超必殺技】
↓↘→↘↓↙←+P 蒙古騎馬大暴走
→↘↓↙←→↘↓↙←+P 聖なる巨人投げ
妾とエビフライは三度相対し、最終ラウンドの合図が草原に響く。
すると同時に、モンゴルッポイ王はしゃがみ込む。
何だ? 『待ちガイル』か?
いや、おそらくこれは『斬刃トルテ』対策。
ここで不用意にザッハを出すと、ガードからさっきのスライディング頭突きか、第1ラウンドで見せた『アルタイ山脈落とし』(急浮上からのヒップドロップ)とやらで潰される事になるだろう。
そこまでは分かっているが、自分から仕掛けて行く技に乏しい妾はいったん相手の出方を伺わざるを得ない。
そこへ。
「どっせいっ!」
焦れて来たのか、エビフライはいきなり頭突きで突っ込んで来る。
我慢が効かない奴だな。早漏か?
妾は迎撃するべく、しゃがみキックを置きに行く。
しかし、エビフライは蹴りの間合いスレスレでブレーキをかけて、下段の打撃投げで妾の脚を掴んで来た。
しまった! 技の強弱で移動距離を調節できるのか!?
「タルタル返し!」
エビフライは、切り株の根っこをぶっこ抜くように妾を持ち上げると、豪快に投げ飛ばす。
ドッ!
「ぐっ!」
大地に叩きつけられる瞬間、妾はダウン回避(弱P弱K同時押し)で体勢の立て直しをはかる。
なんとか受け身を取りながら、素早く前を向く。奴がいない!?
フッと地上に影が射す。上か!
「アルタイ山脈!!」
攻撃判定がデカそうな尻が降って来る。これはバックステップではかわせない!
ならば活路は前のみ。正直嫌だが、やむを得ん!
妾は前転挑発(↓↘→+START)を発動し、すてーんと前方に転ぶと、「えへへっ」とドジっ娘アピールをする。
「何いっ!?」
ドゴオッ!
隕石のようにクレーターを刻みながら、地面に激突する尻。
しかし、目標を外したエビフライは大きくスキを見せる。
「そこだ!」
バシッ! としゃがみ強キックの足払いを当てると、男はしりもちをついてダウンする。その起き上がるタイミングを狙って。
「斬刃トルテ!」(↓↙←+弱K)
ゴッ!
弱で繰り出すパンモロ回転蹴りのかかとが、エビフライの鼻面に突き刺さる。
やはり、ザッハは起き攻めに向いているな!
「ぷおおおーっ!」
男は鼻血を吹きながら間合いを離すと、急にうおおおおと自分の腹を狂ったように叩き始める。これはゲージ溜めの動作!
すかさず妾もピラピラピラッ♡ 「うっふーん」(STARTボタン押し)とスカートをめくって対抗する。
ポンポン、ポポポン、ポポポポポンッ!
ピラピラピラピラ、うふふんふーん♡
鼓を打つような乾いた音と嬌声が響き、挑発とゲージ溜めが激しく応酬される。
しかし、端から見ればただの変態と痴女だ!
「がああっ!」
ゲージを溜める事をあきらめた筋肉ダルマは、またしても滑るような頭突きを繰り出して来る。
ワンパターンな奴め。ならば次は上段から攻める!
J強キック→しゃがみ弱キック→弱斬刃トルテの連携を狙うが。
パシッ!
「甘いのうっ!」
「何っ!」
またしても頭突きにブレーキをかけたエビフライは、妾のジャンプキックを捉える。
こいつ、『対空投げ』も持っているのか!?
「オーロラ掴み!」
エビフライは体重をかけながら、妾の身体を地面に叩きつける。
ぐはっと肺腑の空気が絞り出され、一瞬意識が飛ぶ。
「エクレアさん、エビフライ=ハーンは打撃も強いですが、基本的には投げキャラです!」
「それは……、最初に、言え……!」
男から繰り出される踏みつけるような蹴りを、ゴロゴロゴロと転がってかわし、体勢と息を整える。
体力ゲージは残り半分と言ったところか。
もう二度と、投げ技は食らわんぞ! 食らわん、つったら絶対に食らわんぞ!
妾は掴みかかって来るエビフライの豪腕をかいくぐり、しゃがみ弱キックからしゃがみ弱パンチを2発入れる。さらに立ち弱パンチから弱キックに繋ぐ。
『目押し』(硬直時間差の見切り)を駆使した通常技だけの5連コンボ。必殺技がまともならこんなチマチマした小技を使う必要はないのだがな。
「斬刃トルテッ!」(↓↙←+弱K)
ガガッ!
不意をついてザッハも放つが、さすがにこれは十字受けでガードされる。
だが、同時にケズリが2発入る。ある程度距離を空けて足先だけ当てれば反撃される心配もない。
本当に斬刃トルテは使い勝手が良いな!
ガガッ! ガガッ! ガガッ!
妾はもう何発か放って、相手の体力を削れるだけ削る。
しかし!
ジャキン!
「ごおおおおおおおおおおっ!!」
雄叫びを上げながら、モンゴルッポイ王の身体が発光する。
しまった! パワーゲージが満タンになったか!?
ダッシュで詰め寄って来るエビフライを、妾は『踵落とし』(←+弱K)で迎え撃とうとしたが。
スカッ。
「!?」
中途半端な弱キックが暴発する。
どういう事だ!? すると情報屋が語る衝撃の事実。
「エクレアさん! 踵落としは『→+弱K』ですよ!」
何っ!? 確かさっき見たインストは『←+弱K』と書いてあったぞ? もしや……。
「まさか、誤植かっ!?」
よりによって、このタイミングでか!?
エビフライがいかに鈍重と言えども、この隙を見逃すはずがなく、妾は細い腰を掴み取られる!
「しまっ……!」
「フンッ!」
妾は、まずは払い腰で地面に叩きつけられる。
ドゴオッ!
「ぐあっ!」
続けて、担ぎ上げられるとボディスラム気味に投げ落とされる。
ドガァッ!
最後はブンブンブンブンとプロペラのように振り回されると、妾の身体はヘリコプターのようにエビフライと共に宙に浮き。
「これで、仕舞いじゃあッ!!」
ドッゴォーーーッ!!
「うわあああああーーーっ!」
バックドロップで固いモンゴルッポイの大地に叩き込まれる。薄れていく意識の中で、妾は自分の体力ゲージが0になるのを見た……。
「ぐわーっはっはっ! これでおヌシはオイドンのものじゃあ!」
「エクレアさん! エクレアさーんっ!」
高らかに笑うモンゴルッポイ王と、必死に呼び掛けるロリッ子魔女っ娘の声が反響する。
しかし……。
ジャキン!
妾はそれを聞きながら、パワーゲージMAXの発光エフェクトとともに、ゆっくりと身体を起こした。
「エクレアさんっ!!」
「何だとっ!?」
ユラユラと幽鬼の様に揺らめき立つ妾に、男はバケモノでも見るかの如く。
「なぜだっ! おヌシの体力はとっくにゼロのはず! なぜ立ち上がる!」
「負けたく……ないからに……、決まっておるだろう……」
妾は燃えるような視線で男を射抜く。
実際は体力ゲージがピッタリ0でKOには至らず、首の皮一枚繋がっただけだが。
「貴様、超必投げのくせに5割しか減らないのか……。安いな」
口の端から滴る血を拭い、スカートをめくらない方の挑発をしながら、妾はニヤリと不敵に嗤う。
「ぐっ! このくたばり損ないがあああああっ!!」
怒りにまかせた『蒙古騎馬突進』を繰り出して来るエビフライ。妾は画面端に跳躍し、三角跳びで飛び越えようとする。
しかし。
「ぐははははっ、引っかかったなあっ!」
憤怒したように見せたのは実は策略。エビフライは頭突きにブレーキをかけ、再び妾に対空投げを仕掛けて来た。
だが、それもすでに織り込み済みよ!
「いやーん」
妾はジャンプ挑発(↑+START)のコマンドを入れると、ミニスカートがパラシュートのように広がる。
それを押さえつつフワッと浮力を受けて、男が伸ばした腕をすり抜ける!
「っ!? させるかあ!!」
背後に降り立つ妾に裏撃ちをさせまいと、エビフライはすぐさま振り向くが、そこへ妾が繰り出す押し蹴り(強P強K同時押しによるふっとばし攻撃)が奴の腹に突き刺さる。
ドボオッ!
「ぐほおっ!?」
ゴロゴロと画面端まで転がる男に、間髪入れずに仕掛ける起き攻めはザッハではなくジャンプ強キック!
ゴスッ! ビシビシッ!
さらにしゃがみ弱キック×2へ繋ぎ、超必発動!(↓↙←↙↓↘→+P)
「はああああああああああっ!」
闇で画面を塗りつぶしながら、左ジャブ×2、右ヒジ、左前蹴り、右下段蹴りからの右中段蹴り、左アッパー、右フック、左ヒジのかち上げから叩き込むような右フック。
おそらく、これが最後のチャンス。ここで仕留めなければ勝ちは無い!
ドガガガガガガガガガガッ!
右後ろ回し蹴りからの踵落とし、ハンマーのような右拳の振り下ろし、左ストレート、打ち込む右ヒジ、右後ろ回し蹴り、左右左の三連アッパーから、斬り上げる右の手刀で月弧の軌跡を叩き込み。
『昏疾駆ッ、月刀ショコラーッ!!』
ラストに左の手刀を裏拳気味にえぐり、二重の弧月を煌めかせて、MAX超必殺技を完成させる!
しかし。
「!」
ついにKOのエフェクトは発生せず、そのまま着地する妾と起き上がろうとするエビフライ。
おそらくこのまま硬直時間を突かれ、妾は敗北を喫する事となるだろう……と、思った瞬間!
「おっぱいぷるん♡」
ビシッ!
「ぐおおおおおおおおおーっ!!」
ぐおおおおーっ……! ぐおおおおーっ……!(ダウン時のエコー音)
なぜか挑発が発動し、当たり判定を食らったエビフライは吹っ飛ぶ。
え? MAX超必乱舞の締めはこれか?
『エクレア、ウィン!』
「…………。ハーッハッハッ、ハッハッハーッ!」
釈然としないまま、妾はとりあえず勝ちゼリフを放つ。
こうして妾はファイナルラウンドも制し、モンゴルッポイ王国国王エビフライ=ハーンから勝利をもぎ獲ったのである。
まあ、最後は締まらなかったがな。だが勝てば官軍、勝ちは勝ちだ!
トゥルルルルルルルルルルン!(得点が入る音)
*
「やったーっ! エクレアさーん!」
情報屋のムウが屈託のない笑顔で駆け寄ってきたので、妾はそれに応えて。
「踵落とし!」(→+弱K)
ゴスゴスッ!
「ぽぎゃーっ!」
おっ、2発入るなこの技。
「痛いっ! 何するんですか、幼女虐待!」
「それはこっちのセリフだ! 貴様、インストカードが誤植しているではないか! 危うく負けるところだったぞ!」
「何を言ってるんですか。インストに間違いがあるのは良くあることじゃないですか!」
こいつ、なんて言い草だ。
「う……、うぐぐぐぐぐ……。お、オイドンの完敗じゃあ……」
妾らがそんな問答していると、エビフライが身を起こす。
なんだか、すごく顔がボコボコになっておるな。負けたキャラは必ずそんな顔になるものなのか?
「オイドンは煮るなり焼くなり好きにして良い……。だが、国の民に手荒な事はしないでくれい……」
そう言って、自分の身を盾に国民の無事を嘆願するエビフライ。
ほう、ただのエロいデブかと思ったが、意外と気骨のある男のようだな。
「エクレアさん、どうしますか?」
「ふむ。では実質的な支配権は貰うが、統治は引き続き貴様に任せよう」
「ほ、本当にそれでいいのか!? ありがたい!」
「その代わり、妾に永遠の忠誠を誓えるか?」
「ああ、誓う! おヌシのためなら足も舐めるし、夜のお供でも何でもするぞ!」
「気持ち悪いから、それには及ばぬ」
妾はすがり付いてくるエビフライの顔をゲシゲシ蹴る。
「へえ、意外と寛大な処置ですね。ボクはまた悪役令嬢だから、てっきり首級でも取るものかと」
妾は、ツインテールの黒髪をファサッとかき上げると。
「皇帝とは王の王たる者だ。自分で民を治めるのは面倒くさいから、人任せにすれば楽ができるからな」
「さすが悪役令嬢、『君臨すれども統治せず』ですね」
黒雷女帝エクレア、モンゴルッポイ王国を征服!
※通常版の昏疾駆・月刀ショコラは全段入って15hit。MAX版は最後の挑発モーションまで入れて31hitコンボです。
(用語説明)
『待ちガイル』:
←タメ→の飛び道具と、↓タメ↑の対空技を持つキャラが『飛ばして落とす』戦法を取るため、↙タメでしゃがみ待機すること。ストリートファイターシリーズのガイルが猛威を振るった事から、この名がついた。
『目押し』:
自分の技の発生時間と相手ののけぞり時間の差を計算に入れて、戻りの早い技と発生の早い技をタイミング良く繋げる高等テクニック。