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集合と位相とかわいい触手持ち少年  作者: LOVE坂 ひむな
第二章 エドワード・チェックの理論
17/28

幕間 インターバル

謎回です

「駅向こうのパン屋の塩バターパンはうまいな」 


 俺はみんなと別に行動してパンを買いに行き、再び合流しようとしたが食堂を探してもいなかったので一人でパンを食べていた。 


((一人じゃないぞ)) 


 ——二人だった。


「ごめんな。はい、あーん」 


 しょこらが出てパンを食う。なんか俺が手に持っているものをこいつに食わせていると不健全な気のする支配感のようなものを覚えるな。 


((それはね、欲情しているんだよ)) 


「ふーん」 


 適当に流す。そうしていた時だった。


「トコロギ・ユラ!!!!!!!!!!!!」 


 誰かが俺の名を叫んだ。聞き覚えのない声だ。多分女の人だと思うが、誰だろう。辺りを見渡すと、笑みを浮かべて近づいてくる人がいた。


「さてはキミだな? キミがトコロギ・ユラだな?」 


 雪のような透き通る長い銀髪に、鮮血のような赤い目をした女の人だ。本当に誰だ。知り合いにこんな人いないぞ。というか口ぶりからして向こうも初めて俺に会ったんじゃないか。


「誰だこいつって顔してるな? 当たり前だよな! 初対面だもんな! ワイファイの設定名に自分の名前は入れない方がいいぞ!! そういうの見ると名前を叫びたくなる人がいるんだ!!」


「えっ——あっ」


 えっ何この人ヤバすぎない? 背を向けて早歩きで立ち去ることにした。


「おいおい! 逃げることはないだろー? あるか! まあでも逃げるなよ! 最近面白い本とか読んだ?」


「あっ所木くんっ!」


 歩く先に吟遊が現れた。助かった。いや助かってないかもしれないが、とにかくこの女から逃げよう。


「吟遊さん。数理棟に——」


「それにっ、フユさんですねっ」


「ユウくん! ちょうどいい! そのユラって奴を捕まえてくれ!」


 えっ何? 知り合い? 奇人どうしは引かれ合うの? そう思っていると吟遊が口を開いて


「九月の雪は赤色をしないっ! 九月の雪は赤色をしないっ! 九月の雪は赤色をしないっ!」


「あっ貴様! 覚えてろよー——」


 ——何か呪文のようなものを唱えたと思ったら女の方が光の粒になって消えていった。今の何? 口裂け女がポマードポマードポマードで撃退されるみたいな? 


「大丈夫でしたかっ」


「ええと、今のは」


「口裂け女がポマードポマードポマードで撃退されるみたいなやつですっ」


「ええぇ……」


 何だったんだ。このことを聞いても「いずれ分かりますっ」とのことだった。


 そうしているうちに Čech の理論のゼミメンがやってきて合流し、セミナーを再開することになる。


 ——結局のところ。吟遊の言う「いずれ」というのはだいぶ先のことになるのだった。

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