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私と目覚ましちゃん  作者: たっくん
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目覚ましちゃんはまだまだでてきませんよ

いつも通りの7時30分。なり続けるアラームを止めて、会社に行く支度をする。電池でも抜いておくかと考えながら、服を着始める。簡単にメイクを済ませ、さて行くかと準備が完了する。

私は、再び目覚ましの下に行き、電池を抜く。電源が落ちる。これで明日はなることはないだろう。


「これで明日起きれなくて遅刻なんてしたら笑えないなぁ~。」


と独り言をつぶやきながら、靴を履き、鍵をかけ、車のエンジンをかける。ここから会社まで30分。会社につくのはいつも8時30ぐらい。お気に入りの音楽を流しながらノロノロと発進する。

いつもと同じ通勤路。必ず引っかかる信号。毎朝同じ時間にゴミ掃除をしているおじさんといつもと変わらない通勤路。そんな中、私はふと、自分の部屋に置いてある目覚ましのことを考える。


「あの目覚ましっていつ買ったっけ。覚えてないなぁ。」


可愛いピンク色の目覚まし。昔からスポーツ少年と間違われることが多い私だが、柄にもなくあんなかわいい目覚ましを買って、ぴょんぴょん小走りしながら帰った記憶にあるが、いつ買ったのかは全然覚えていない。中学生だったか、高校生だったか。

私には全然似合わない感じだが、今朝も見たが結構かわいくて気に入っていたりする。セットしていないのに勝手にアラームが鳴るのは癪で気に入らないが。


「あのピンク目覚まし。いつもいつもピピピツなりやがってよ...。少しは私の事考えろよ。勝手になるなら、もうちょっと早い時間になれよぉ!私が愚痴ってる最中になるんじゃねぇよ!こっちだってこっちのペースってのがあるんだらさ!」


車で一人なのをいいことにかなり大きな声で、全力で愚痴を発散させる。こうでもしないと会社で同期だったり新人君に当たったりしてしまうかもしれない。それは絶対に避けなければいけない。ストレスゲージをできる限り発散させなければ、みんなの求める元気っ娘のキャラを維持できない。まあ、こんなことでキャラが維持できているのであれば私のストレスは大したことではないのかもしれないけれども。


「誰もこんな風に大声で、愚痴を言っているなどとは思わないんだろうなぁ。」


と失笑しながら車を走らせる。


運転しながら、会社の悪口や同期の悪口を言っているともう会社の近くに来ていた。


「はぁ。今日も早かったな。愚痴を言っているとあっという間だ。」


私はいつも寄っているコンビニに向かう。

会社から5分ほどのいつものコンビニ。朝ご飯、昼ご飯、夜ご飯と一日の食事をここで済ませることもあるぐらいに使用頻度はかなり高い。というか、ここのコンビニくらいしか食べモノを買う場所がないのが本音だ。通勤最中で他のコンビニに立ち寄るということもできるのだが、朝は音楽を流し、大声で愚痴を言いながら会社に向かっているので、そんな状態で一回立ち寄るということがなかなか難しい。というか立ち止まってストレスゲージが消化することができないほうが怖い。コンビニの店員さんに当たってしまいそうで。となると会社から少しのところのこのコンビニに立ち寄る他ない。このコンビニに到着しているころには大体ゲージは消化しきっている。

駐車場に車を止め、コンビニの中に入ると、聞き覚えのある声で私の名前を呼ぶ声がする。


「あいちゃん!おっはよぉ~!!」


コンビニ全体に広がる声。朝からストレスゲージをあげて来やがる子の小娘。


「小鳥遊さん!おっはよぉ~!!今日も朝からピチピチしていて可愛いですのぉ~。」


もうかなり慣れた元気系セクハラキャラで責める。一応補足しておくが、私は決してこんなキャラではないし、できれば人と馴れ合いたくはない。しかし、社会を生きていく為、コミュニケーションは絶対必須で、昔からよく男みたいだなと言われていたので、このキャラクターを選んだに過ぎない。完全に間違えたとは思っているが、今更変えることはできないし、もうこのまま突き通してしまえと腹を据えているだけであって、決してやりたくてやっているのではない。


「もおぉ~~!!朝からどこ見てんの~。あいっちゃんエッチなんだから!」


「朝からそんないい匂いぷんぷんさせて食べてくれって言ってるようなもんだろ~! ガオー 」


と手を開き上にあげ、肉食獣のようにポーズをとる。私の保身の為に言っておくが決してやりたくてやっているのではない。こういうキャラになってしまっているのだ。

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