キミは死んでから生き生きしてきた
キミは車に轢かれた。
キミの悩みが尽きないことを知っていた。
笑わないキミに慣れてしまっていたのは事実。
恋愛、友情、学業等の悩みがキミの遠くにいたボクにも伝わっていた。
今はそんな悩みを微塵も感じさせないほど生き生きしている。
“アッハッハ!面白いね!”
死んでからよく笑う。
“ねえ?あの新しい先生カッコいいよね?”
死んでからよく話し掛けられる。
“あー今日も楽しかった!”
死んでから人生を楽しんでいる。
幽霊になって吹っ切れたのだろうか。
“はぁ”
ある日何の前触れもなくキミは死ぬ前のキミに戻った。
死ぬ前のどんよりとしたキミに。
どんよりしたキミも明るいキミもキミには違いないのだが。
突然辺りは微かな白い光に包まれ、その光の破片がキミの方へと歩み寄る。
そしてキミは再び元気を取り戻していった。
キミが別の幽霊に憑かれるほど愛される人間であることを、ボクは随分前から知っていた。