2:どうも召喚されたらしい
どうぞ
「おお!よく来てくださいました!勇者様!」
魔法陣のようなものから放たれる光が収まると、目の前の恰幅のいいおじさんが、開口一番に、そんなことを言ってきた。
そして、魔法陣の様なものの光に飲み込まれたことを、思い出した。そして、なぜだか周りを見ると、俺の他にも4人、人がいて、狼狽えていた。おじさんや周りの兵士達は、髪の色が、青だったり、緑だったり、赤だったりして黒髪は一人もいないので、前の黒髪の4人も日本人で巻き込まれたのだろう。しかしあの時俺の周りには誰もいなかったはずだがどうしてだろうか?
「やりましたね!お父様!」と、
唐突に、前方から大きな声が上がったので、前の4人と一緒に声のした方向を見やると、男ならば、一瞬で惚れてしまいそうな笑顔で、
おじさんの方を見ていた。
「………おお、これで我が国も安泰であるな」
とおじさんが返す。
なんか妙な間がなかったか今?
まぁ、俺の気にしすぎだろう。
突然、常軌を逸したことが起きたので、気が敏感になっているのだろう。
それにしても、このお嬢さまみたいな人にお父様と呼ばれているし、ここ城っぽいしもしかして、このおじさん国王?
と、俺の表情の変化から、考えを察したのか、おじさんは
「私はこの国の国王をしているクラッド・ユラードという。王という立場上呼び捨ては不味いのだが、勇者様であるので、さん付け程度ならば大丈夫であろう。ユラードさんと呼んでもらって構わない」という。
やはり、国王様だったか、それにしても、脳内だけでもおじさん呼ばわりは不味かったかな?
まぁ、とりあえず目の前に国王様がいる事だし、
今の状況を聞くとしますか。
我ながら、冷静だと思うが、前世?で読んだラノベの記憶にかなり助けられていた。
ラノベを読んどいてよかった、と思った瞬間であった。
とりあえず、貴族の言葉はよくわからないが、
敬語を使っておけば大丈夫であろう、と思って、意を決して聞くことにする。
「ユラードさん私達はまだ今起こっていることが全くと言っていいほどわかっていませんので、説明をおねがいできますでしょうか」
「おお、そうじゃったなでは話すとしようか」
と喋り出す。
緊張で噛みそうになりながら、なんとか言い終えて浩介はほっとしていた。
(あー、緊張したー、いきなりさん付けは難しいな、まさかとは思うけど、いきなり さん付けとは無礼な!処刑だ! とか言われたらどうしようかと思ったわ、そういう本読んだことあったからなー)と、考える。
ほかの4人も今は、情報確保が一番だと思ったのか、大人しく聞くことにしたようだ。
そしてユラードさんからの話で分かったのは
・この国は魔王率いる魔族に、侵略される危機にあること。
・それに対抗するため、古の魔術本を頼り俺達勇者を召喚したこと。
・俺達は、勇者なので、強大な力があり、魔族との戦争に参加してもらわなければならない。
というものが主な3つだった。
しかし、国王が最後にたまたま小声で喋ったことを俺は、聞いてしまった。
「勇者は、文献によると4人のはずなのだかな…」と。
これをたまたま聞いてしまい俺は急に不安になった。向こうの世界で考えた悪い方向の考えが頭を過ぎったのだ。しかも、ほかの4人の話の内容を聞いている限り、4人は友達で、どうも同じところから来ているらしい…
もしかして、俺は巻き込まれたのか?と、
悪い想像が思いつく。と言うより、これは完全に俺が巻き込まれたのではないだろうか。
そう思った瞬間、強い光に巻き込まれる前に思いついた悪い想像が現実味を帯びてくる。
しかし、読んでいた本には、巻き込まれても、
強かったり、しっかり異世界で生活していた主人公もいた。
自分もきっとそうだろうと信じたかった。
そんなことを考えながら、不安と希望に板挟みにされていると、遂にその言葉がかかる。
「さてと、難しい話はここまでにして、皆様にステータスの見方をお教えします。私に続いて、皆様唱えてください。」
と、お嬢様らしき人が言ってくる。
そして、
ーーー「ステータスオープン」ーーー
と、そして俺らもそれに釣られるように唱える。
ーーー「「「「ステータスオープン」」」」ーーー
次から脇役編です。
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