15:トレーニングコーチ
今日は早めの投稿です。
その後、フィナから話を聞くと、なんて事無い
「トレーニングするだけです。」
との答えが返ってきた。あまりにも単純すぎて
「まじで?」
「マジです」
「まじで?」
「マジです」
とかいう会話を何回か繰り返してしまった。けれども、ただ単に鍛えただけではレベルアップによる身体強化には勝てないそうなので、少々特殊な方法を使うそうだ。
ということで、今はその特殊なトレーニングとやらをしてくれる人の家に、向かっている…らしい。らしいと言うのは、なぜか国の端の方にある、到底人が住まなそうな密林へと向かっているからである。
「本当に、こっちの方にいるのか?」
「数十年前の戦争終結から出てきてないらしいですよ」
「…それって生きてるのか?」
「……多分生きてます。」
なんか心配になってくるな。ちなみに、なんでフィナにやって貰わないのかと言うと、王族なので、一応まだ子供でも仕事があるらしく、それに、結界の管理者の仕事もあるので、今日のように一日中暇な日は、希にしかないらしい。なんか貴重な休みを俺のせいで潰してしまって申し訳ないな、と思っていたら
「今回は、浩介さんが落ちてきたから休みがもらえたんですよ?浩介さんの対応をしてやれー、と。私は逆に休みが出来て感謝していますよ?」
との事。何ら気を病む必要はなかったらしい。
と、そんなことを話していると、密林の中の筈なのに、視界が一気に開けた場所に出た。そしてその中心には家らしきもの。多分ここに住んでいるのだろうか?トレーニングしてくれる人は。
「浩介さん、着きました。ここにトレーニングをしてくださる方が居るはずです。」
どうやら、俺の推測は間違ってなかったらしい。早速フィナが、ドアをノックして、「生きていらっしゃいますか?お邪魔して宜しいでしょうか?」とか、聴いてた。やっぱ、生きてる確証なかったんだな…… しばらくすると中から
「うるさいわ!生きておるわい!ワシが死ぬわけなかろうが!」
と、幼女の声が……幼女?まさか、まさか、ハツハッハッ。いくらステータスオール1とはいえ、幼女に鍛えてもらうほどヤワじゃないぜ?きっと今のは聞き間違えだろう……
「今行くわ!ちょっと待っとれ!」
……はぁ、どうやら俺はフィナに幼女に鍛えてもらうほどヤワだと判断されたらしい。恐るべき弱さだな!俺の顔から考えを察したのか、フィナが弁明に入ってくる。
「あの方に鍛えてもらうのではなく、一番の目的は、トレーニングの手伝いです!エルフ族は全体的に、筋力が弱いですから、トレーニングのコーチなんて、出来ませんよ!」
……はぁ、成人男性の平均の約6.5倍の筋力をお持ちの方が何を言う。充分すぎるだろ。フィナみたいな子供に負けたら、大人傷つくだろうなぁ……
そんなこんなで話していると、幼女(仮)が出てきた。紛うことなき幼女でした。はい。しかも、可愛いっていうね。こんな子に力で負けたら、俺立ち直れない気がするわ。
「何じゃ?なんか用でもあったかのぅこの老いぼれに?」
老いぼれ…?まさかこの子もバb「おい、小僧?」すみません!冗談です!だからフィナより濃厚な殺気飛ばさないでください!視界がくらくらし始めたんで!割とまじで。エルフの人はみんなやっぱり読心スキルでも持ってるのか?割と真剣に考え始めた俺をよそに、フィナが交渉を始める。
「実は、この方をトレーニングし「いいぞ」……えっ」
どうやら、交渉は簡単に成功したらしい。何でだろう?まぁありがたいな。
「しばらく、一人でいたんでのぅ…ヒマじゃし、先ほどの、ババア発言の仕返しをせんとのぅ!」
発言してないんですが、考えただけなんですがそれは。どちらにしろ有難いが、死ぬような未来しか見えないのは俺だけだろうか。