13:ただただ悔しかった
閑話を入れるタイミング間違えましたかね?
第三者からの視点はなかなか難しいですね。
今回からは本編です。
その後、俺達は王様に謁見した。そこまで色々なことは聞かれなかったし、特に何も言われなかったが、この街にはまだ戦争のことを恨んでいる者がいるので、城からあまり出ないでほしいと言われた。俺も命を助けてもらった立場なので快く了承した。
しかし、城に来る途中に、なんか睨まれてるな、と思ったらそういう事だったのか。やっぱりたくさんの同胞が殺されたんだから恨みも残ってて当然だよな。それに、エルフは寿命が長いから、この街にいる人は戦争の時代を過ごした人が殆どらしい。実体験してたら恨むわな。
そして、今俺は与えられた部屋で過ごしているのだか、何故か前の部屋よりもはるかに立派だった。
「勇者じゃないとはいえ、召喚された国より、敵国の方が待遇いいとか何だそれ…」
トントントン、とドアが叩かれる音がしてドアの方に目を向ける。すぐさま「どうぞ」と返事をしかけるが、前の城での経験がフラッシュバックして、思わず返事をするのをためらってしまう。しかし、ここがエルフの国の城だということを思い出し、返事をする。
すると、ドアを開けてきたのは、フィナだった。ドアが空いた瞬間思わず身構えてしまっていたので、変な格好をしている俺を見て
「……何をしているんですか?」
と聞いてきた。
(やばい、超恥ずかしい、どうしよう。部屋でボッチでひとり遊びしてる痛いやつとか思われたかもしれない!うわぁー!恥ずい恥ずい!)
まぁ、取り敢えず立たせたまま話というのも失礼だし座ってもらうことにした。混乱している頭でよく考えた俺。グッジョブ。
座ってもらって、さぁ別の話題に話をそらして忘れてもらおう!と、思ったが相手の方が一枚上手だった。座った瞬間、間髪入れずに再び
「先程は何をしていたのですか?」
と、聞いてきた。不思議そうに首をかしげてこっちを見ないでくれ!いち早く忘れてくれ!と、心の中で祈っていたが、どうやら答えないと話題を変えるつもりは無いらしい。
「いや、まぁ、ちょっと前の城での癖でね、そこまで大した意味は無いんだ。」
と答えると、俺のステータスを思い出したのか、ただ単に察しがいいだけなのか分からないが、分かってくれたようでそれ以上、詮索はしないでくれた。
しかし、俺の方から気づけば話し始めていた。あの城には、俺の見方などいなかった。それが、今やっと解放され、誰かに話したくなってしまったのだろう。止めようとしても、一度口から出た言葉は、なかなか止まらなかった。
「だけど、俺だってっ…好きでああなったわけじゃなかったんだよ!それなのにっ……あいつらは!」
気がつけば、今までの辛かったこと、悔しかったことを、吐き出すように、フィナに話していた。
悔しかった、同じ高校生なのに、罪を犯したわけでもないのに、蔑まれ、馬鹿にされた事が。悔しかった、ただただ悔しかった。
そんな、俺の勝手な事情を彼女は、嫌な顔一つすることなく聞いてくれた。
その優しさに触れてだろうか、今までの悔しさのせいだろうか、分からなかったが気がつけば涙がこぼれていた。
自分でも驚いたが拭っても、止めようとしてもそれは、止まらなかった。
今までこの世界に来てから、俺は人の優しさに触れてこなかったせいか、無性に人の温もりに縋りたくなった。そんな俺をフィナは膝枕して、くれた、俺はその温もりに包まれて、意識は闇に落ちていった。