10:水上都市の戦い②
多分、今回も短めです。
「はぁっ!」
勇者が気合いと共に、繰り出す剣技を魔族は、軽く受け流していく。どうやら、相手の魔族はステータスと共に、技量も相当高いらしく、苦戦しているようだ。
ほかの3人は、召喚された魔物達の相手をしていて、勇者の手伝いができないようだ。それどころか、三体の魔物に押されかけている。一人回復役がいるので、まだ持っているが、決定的な攻撃が出来るのは、魔法使いだけなのでこちらも苦戦しているようだ。
(超苦戦してるし…俺ここで死ぬんじゃね?)
でも、勇者の動きがいつもより遅く感じるのは、気のせいだろうか。まぁ、早すぎてよく分からないけれど。
そうしている間にも、勇者が追い詰められていく。
【?何をしている、なぜ本気でかかってこない。その戦い方を見ていればわかるぞ、上級魔族に、出し惜しみなど、貴様は死にたいのか?】
あっ、俺の気のせいじゃなかったらしい。
どうやらあいつらは本気を出していないらしい。あいつら、マジで死にたいのか?しかもお前らが死にかけたら、俺が………まさか…
(あいつら、わざと死にかけて、俺のことを殺す気か!?)
国王には、戦場で戦死したと伝えれば、俺の弱さだ、疑われることはないだろう。まぁ、俺が死んだ後、あいつらも死にかけの状態だから、魔族相手じゃあいつらも死ぬかもしれないけど。
と、考えていると、俺でもわかるほどあからさまに、神乃のやつの動きが止まる。そこに、魔族の剣が迫る。
(おぉぉぉぉーーーーいぃぃ、ウッソだろお前!何やってんだよ!!)
瞬間、脳内に直接声が響く、
《条件達成により、固有スキル:脇役の心得が発動します。効果、速度補正極大、勇者救助》
無機質な声だった。それが響き終わると同時に、周りの世界が、遅くなっていく錯覚を起こす。そして、今までとてつもなく重かった体が軽くなっていく感覚も。
その次の瞬間、自分でも、周囲が理解できないほどの速度で、剣と勇者の間に、身を踊らせるそして、体が切り裂かれる。
(あぁ、こりゃ死んだな。)
痛すぎて、逆に痛みを感じなくなるほどの激痛の中、しかしまだ、運は浩介のことを見捨てていなかったようだ。不幸スキルがあるのに。
さっき聞いたばっかりの無機質な声が、再び脳内に響く。
《条件達成により、スキル:頑丈がレベル2に進化しました。効果、体力が100%の時、致命の一撃を受けた場合、体力1でとどまる。》
しかし、これで助かった、と安堵している浩介が剣技の威力で吹き飛ばされた先にあったのは海だった。
(マジかよ、これせっかく生き延びたのに意味が無いじゃないか!くそっ、まだ死にたくない…なんであいつらの勝手な都合で、こんな目に合わなきゃいけないんだよ!?俺だって、あいつらみたいに、あいつらみたいに!主人公に、なりた…かっ…た…)
やがて息ができずに、意識が朦朧として海に沈んでいき、遂に意識が途切れた。
今回で脇役編は終わりです。
今回は書き方が下手だったかも知れませんが、これから頑張っていくと思うので、許してください。はい。