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到達点の先には(仮)  作者: 遠崎みやび
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樹からのはじまり

幼いころから何か成し遂げることが好きだった。

それは、小さいことでもいい。

とにかく一つのことを目指し、結果として何かを達成することが純粋に好きだった。


それは、どこにいても幾つになっても変わらない自信はあった。

しかし今になってその自信が揺らぎそうになっている。

今まで生きてきてこんなことは初めてだった。でもそれもしょーがないかなとも思い始めている。


なぜならここは日本、ましては地球じゃないと、ここ最近の生活を思い起こして至ったからだ。

本当はもう少し早くこのことを自覚できれば良かったんだろーが色々可能性やら何やら理由をつけて逃げてしまっていた。


だけどもう素直に諦める。ここは俺の知らないところだ。そして今俺の中で小さな目標ができた。

それは、

"とりあえず死なないこと"だった。



ことの始まりは、普通に高校を卒業して、都会にある大学に合格し、まだ入学して一ヶ月程度しか経っていないときのことだった。

高校のときからの友人で違う学部だが、同じ大学に入学した友人三人と同じサークルに入ろうとして新歓と呼ばれる新入生歓迎会に一緒に参加したときに事件が起きた。


大学生ともなると、様々な地域から人が集まり心機一転、はめを外したくなる人も多いのは知っていた。ただ、想像よりもそのサークルはその類の人が多かった。

勧誘されたときに自分たちを案内してくれた人たちには比較的好印象の人が多かったが、それはこのサークルの中でも限られ、選ばれた人材だったのだろう。

まんまと友人三人と騙された俺たちはその新歓で問答無用でお酒を飲まされ、いつの間にか意識を失ってしまっていたらしい。



らしいというのは気づいたら見知らぬ場所で目を覚ましたからだった。

しかも目を覚ましてすぐに自分の身体が自由に動かないことに気づいた。


「おいおい...どうなってんだ!?」


冷静に自分の体を確かめてみると身体の殆どは木の幹のようなものにほとんど埋まっていた。


「なんで俺埋まってんだ...ってか"埋まった"ていうよりこれは...」


不思議なことに木の幹は体に張り付いており、木の方から体に張り付いてきているような感覚であった。

しかも、何か満たされてるような感覚があって気持ちがいい。だが、今は早く自由に動けるようになりたい。



「と、とりあえず、顔と左手はあまり埋まってなくて助かった。」


半分ほどしか埋まってなかった左手を何とか動かして顔の周りと右手を重点的に樹皮を剥がしていく。



「表面はすげー堅いけど、表皮が剥がせたら中は以外と柔らかいな。これなら何とか...」


最初は無心で樹皮を剥がしていたが、少しして気づいたことがある。右手の先に行くにつれて自分の予想以上に深く埋まっていることに。さらに下半身も思った以上に深い。



「こ、これは簡単にここから抜け出せないのでは!?」


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