始まりの事件4
2145年3月19日PM 8時5分 -剛の家にて-
家に帰ってしばらく経つ。耶津葉の奴も帰ってきておりちょうど食事が終えるところであった。耶津葉にも今日あったことでも伝えておくか。後でなんかあった時も不憫だし。
「え!剛も学校行くんだ。」
「仕方なしにな。ったくどうしてこんなことになったんだか。ああ、本当に面倒なこった。」
「二人で何とかできるよ!よろしくね!」
「別に俺は6組でお前はエリート組の2組だ。そう会うこともないような気がするがな。」
「むー、そうかな?」
「・・・・まあ弁当くらいは一緒に食ってはやるよ。お前って見かけによらずさみしがり屋だしな。」
「ほんと!?ありがとう剛!大好き!」
「お、おう。」
・・・さすがの俺も耶津葉に好きだなんて言われるのはドキッてくるものがある。一応俺も男だからな、性癖くらいはある。でも、こうもストレートで言われるのはなんていうか、この、そう、た、耐性がないからに違いない、と思いたい。そういって俺は食器を片づけ、余った白米を保存庫に入れた。昔はこういうのなかったそうだからいろいろ不便だったろうに。まあ、その点昔の人は強かったんだろうなとつぐつぐ思う。
風呂も入ったことだし、
「明日も早いし、さっさと寝るぞ。」
「はーい。」
そういって俺は自分の部屋に行き、電気を消しベットで横になった。
・・・・・今日一日振り返ってみるといろんなことあったなあ。おかげで大変なことになりそうだ。全く。まあ、考えているだけ無駄か、そう感じた俺はさっさと寝ることにした。
・・・・寝れねえ。なんか胸騒ぎがしてならない。危険とか、そういうんじゃなくてもっとこう、なんだ自分の身に何かが起きそうだとかそんな感じだ。
と、考えていたら俺の部屋のドアが開いた・・・・誰だ?ほっそりと、外から見たら開けてないくらいに目を開けた。・・・そこには、耶津葉だ。そこには、耶津葉がいた。
何をしているのかわからないがベットに近づいてきた。起きてることが万が一ばれないようにするため目を完全に閉じた。そして・・
頬に何かやわらかい感触を受けた。
「!!!!!!!”””」
思わず声を上げそうになったがとっさに我慢した。・・・え?ちょっと待て。何で寝てる時にえと、そのなんだ頬に口づけしてくっかな。うん。いやされたことはないわけではないんだよ。現に何回か耶津葉から受けているからな。起きてる時に。
だが、寝てる時にされるのと起きてる時にされるのってなんでこんなにも違うんだ。それがいまいちわからん。
「・・・はっ!いけないもうこんな時間だったね・・・・・。」
なんか気づいたらしい。妄想の世界にでも入っていたのだろうか。
「早く寝ないと・・・・好きだよ剛・・・・」
そういって耶津葉は部屋から出た。・・・・まあそんなこったとは思っていたけど。まあ俺はなんかラブコメとか小説とかで見る鈍感な主人公とは違うからな。その程度は知っている・・・・・と思う。あいつは幼馴染のようなもんだから一緒に暮らしているからわかるさ。伊達に性を持たざる者をやってねえよ。
だが、残念で仕方ないが俺はあいつの気持ちには答えてやることはできない。嫌い、とも言えないし鋤とも言えないのだ。あいつには。もちろん好きっちゃ好きなのかもしれない。・・・・それでも、だ。性を持たざる者ということもあるのが理由の一つであろう。他の理由は・・・そう考えるのもやめにした。心が痛くなってくる。早く寝るとするか・・・・
2145年3月20日 AM6時5分 -起床-
目覚まし時計の音と同時に俺は目を覚ました。昨日の入学式は7時半からのスタートであったが、いつもは基本8時15分までが登校時間になっている。まあ、ホームルームさえ間に合えばいいのだが。
と、さっさと下に行って飯の準備しなきゃな。と下に降りて行ってみると、
「あ、剛!おはよー。」
「・・・・・ええ?」
「?どうかしたの。」
「いや、お前が早く起きるなんて珍しいからさ。それに・・・朝食まで作ってるとはな・・・・・・・」
「えへへ。今日から早起きと朝食づくりくらいはしたほうがいいかな~なんて思ったから。」
「お、おう。わかった。助かるぜ。」
「これからはしっかり任せてもらうからね!」
「おうよ、頑張れ。応援してるぜ。」
そういいながら俺は朝食を食べ始めた・・・・・他人の作った飯を食うのは久しぶりかもな・・・・あいつは料理できることくらいは知っていたがなかなかうまいものだな。うん。そう考えながら卵焼きを口に運ぶ。
「ま、さっさと学校には行ったほうがいいか。初日だしな。」
「うん、そうだね。」
「そういえばなんだが・・・」
朝食でいろいろ会話をし、約20分後にすべて食べ終えた。
「「ご馳走様でした」」
ひとまず着替えを済ませ、校章のようなリングをはめて、準備完了!
「さてと、行くとするか。」
「はーい。」
2145年3月20日 AM7時45分 -学校到着-
ふう、なんとか学校まで来れたな。耶津葉とは一旦ここで分かれることになる。
「んじゃ、昼な。」
「しっかり時間に遅れず食堂にきてね!」
「おいよ。」
実際遅れそうなのはあいつっぽいがな。さあて、6組に入るとするか。
・・・・ここが6組か。やや古い構造だが問題ない。さあ、こっから何があるのか楽しみなもんだ。
そう考え俺は教室のドアを開けた_