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余韻もへったくれもない的、な。

町と街、どっちの漢字にするかで迷いました。

 自分で決めたわけではないけれど、決まったことは仕方がないですし。


 わたしは家の中を片づけ、牛や山羊や鶏達の世話をお隣さんにお願いしました。


 お隣さんには事情を聞かれましたが、わたしも知らないので答えようがありません。


 理由はわからないけど迎えが来ていて、と困った顔をするわたしに、お隣さんは「よくわからんが身体に気をつけていってらっしゃい」と快く動物達の世話を請け負ってくれました。


 本当に良い隣人に恵まれてわたしは幸せ者でです。


 それから、畑は仕方がないけど、諦めるとしましょう。


 農村はいつでも人手不足です。


 ここまではさすがにお隣さんへお願い出来ません。


 期限がいつまでかもわかりませんし。


 すぐ戻ってこれればいいですが、王都とここまでの往復だけでもかなりの時間がかかります。


 戻ったきた時には畑はきっと全滅でしょうね。


 ……生活の補償は何か頂けるのでしょうか。


 頂けなかったら、この冬は少しピンチかもしれません。


 ……ちょっと、売れば生活の足しになる、世話がほとんどいらない薬草の種でもまいておきましょうか。


 


 そんなこんなで後片付けを終え、王都へ持っていく身のまわりのちょっとしたものを袋へ詰め込むと準備は完了です。


 少し疲れたので早めに休むと、あっという間に朝がきました。


 迎えに来られた騎士様達に連れられて、わたしは馬車で村を出ました。


 何だか、少しドキドキします。


 わたしは、いったい何の用件で連れて行かれるのでしょうか。


 聞いても教えて頂けないので少し不安です。


 ですが、王都まではかなりの距離があるはず。


 それまでの間、突然のことでまだ落ち着かない心の整理をするとしましょう。


 そんなことを考えていると、馬車はあっという間に隣の町へ着きました。


 ここには、時折村では買えない物を買いに来ることもあります。


 馬車はその町の神殿までくると止まりました。


 村には神殿はないので、神殿に用事がある時はわたしの村の人達はここまでくることになります。


 わたしもきたことはありますが、何故ここで馬車を止めるのか、と不思議に思っていたら、ここで馬車から降りるよう言われました。


 促されるまま騎士様達に連れられて入った神殿の中の一室にあったのは……。


 ほんわり淡く輝くこれは……、魔法陣?


 首を傾げるわたしに、騎士様が言いました。


「では、ここから王都の神殿へ転移する。その中心に立つように」


 えと、それは、馬車で時間をかけて移動するのではなく、魔法で一瞬にして王都へ行くということなのですね?


 ……それは、心の整理をする時間も、感慨に耽る暇もないですね……。


 わたしは、誰にも気づかれないよう小さく溜め息を吐きました。


次回は王都神殿にて、です。

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