わたしの生い立ち的、な。
マリアベル、村民か町民で迷ったのですが、村民になりました。
町民だったら雑貨屋店員になってたはずです。
さて、どこからお話したものでしょうか。
まずは、わたしの以前の暮らしから、でしょうか。
わたしは王都から遠く離れた農村で育ちました。
かなりの田舎で、家と家の間はだいぶ離れてるので、隣のおうちも自分の家からは見えません。
都会と比べて、お隣付き合いも大変なのです。
みなさん、とても人柄は良いのですけどね。
両親は早々に帰らぬ人となってしまいました。
お医者様もいらっしゃらないので、哀しいことですがよくあることなのです。
しかし、わたしには寝起きに不自由ない家と、小さな畑と、牛や山羊や鶏達が残されていました。
自分一人食べていくことくらいなんてことはなかったのです。
それに、田舎の人間にしては珍しく、わたしの父は有識者でした。
もともとは町の人間であったようなのですが、詳しいことは聞いていません。
母は生れも育ちもこの村の人間であったと聞いてます。
父は、わたしにたくさんの本を残してくれました。
田舎の人間ですと文字すら読めない者も多い中、わたしは雨が降って外での仕事が出来ない時にはおうちでゆったりと本を読む、ということを楽しみの一つにしておりました。
それから、わたしの毎日の暮らしのことですね。
わたしの日課としては、朝日とともに目を覚まし、朝食を食べます。
その後は動物達の世話をし、水を汲みに行き、掃除をし、洗濯をし、畑の仕事をします。
昼に簡単な食事をとると、薪や果実の収集に出かけ、その合間に繕いものや織物や細工の仕事もこなします。
手仕事は自分で使う物はもちろんですが、上手に出来た物を旅の行商人に売るといいお金になったりもしたのです。
村ではあまりお金を使うことはありませんでしたが、まったくないわけでもないのでいい現金収入になりました。
別に仕事だけしかしてないわけではないのですよ?
きれいな野花をみかければ、摘んで髪に飾ったり、おうちに飾ったりもしていました。
たまに村の人と顔をあわせば立ち話、物々交換したりもしました。
夜は夕食をとると、さっさと眠りにつきます。
蝋燭の灯りも無駄にはできませんから。
そんな日々をずっと過ごしておりました。
それなりに平凡で幸せな日々でした。
それが、わたしの当たり前の生活だったのです。
ちなみにマリアベルのですます口調は父親譲りです。