まとめては駄目なんですか的、な。
もともと短編(最初のプロローグ的、のトコ)で思いついた話なだけに、ネタがない……。
「次は、首席魔法使いに会いに行きましょうか」
騎士団長様へ会いに行った日の翌々日、神官長様はそう仰いました。
何故次の日でないかと言うと、わたしも神官長様も疲れ切ってダウンしていたからです……。
わたしは神官長様のお言葉にこっくりと頷きました。
「はい、神官長様。……あの、質問よろしいですか?」
「ええ、どうぞ」
「何故、一人一人の紹介なのですか? 皆様集まって頂き、一度に顔合わせではいけなかったのですか?」
「そうですね……」
わたしの問いかけに、神官長様は遠い目をされました。
「皆、非常に個性的な者ばかりで、こちらから呼びかけても時間通りに集まることは稀ですし、三者が同時に集まったら集まったらでわたしがそれを制御しきる確信が持てないから、でしょうね……」
その仰りようには、どこか悲哀が感じられました。
神官長様……。
ご苦労なさっているのですね……。
わたしは、わたしの背後で「マリアベルは俺の妹だ!」、「いや、わしの娘である!」、という何ら意味もない言い争いをしている二人を眺め、しみじみそう納得しました。
お二人とも、本当に元気ですね……。
邪魔なので、と神官長様は言い争っている勇者様と騎士団長様をそのまま放置し、わたしを連れ首席魔法使い様の部屋の前までやってきました。
神官長様がノックをしても、扉の向こうからは返事がありません。
「お留守なのでしょうか?」
「いえ、いるはずです。はあ、仕方ありませんね。ミラ、聞こえてますか。わたしです、シャルマンです。……入りますよ」
そう言うと、神官長様はわたしを背後に庇うように立たれました。
「いいですね、マリアベル。わたしがいいと言うまでわたしの後ろから出てきてはなりませんよ」
「は、はい……」
頷きつつ、扉を開けるだけで何をそんなに警戒することがあるのでしょうか、とわたしは首を傾げました。
「では、行きます」
神官長様は一つ呼吸をし、扉を開けました。
ブウォウウウウツツツツツツツツ!!!
「!?」
突然目の前に炎を濁流が迫り、わたしは目を見開きました。
しかし、それは神官長様の前まで迫りくると、パアン! と弾けて消えました。
わたしが驚いて声も出せないでいると、「あらあ~?」と部屋の中から間延びした若い女性の声がしました。
見ると、黒いローブを纏った人が立っています。
顔の方まで深くフードをかぶっているのでその容姿はわかりませんが、声の感じからするに女の人で間違いないでしょう。
「ミラ……、あれほど部屋の中で危険な魔術の実験はしないよう言っておいたでしょう」
神官長様はこめかみを抑えながら、その相手に溜め息を吐きつつそう仰いました。
「危険ー? 何を仰ってますの、危険ではありませんわ。現にシャルマン様は何ともございませんではないの」
「それはわたしが防いだからでしょう」
「ふ、これは笑止。そもそもこの程度防げない方にこの扉は開きませんわー」
「……はあ、もういいです」
「そうですの。あら、そちらの方はどなたですの?」
その人は神官長様の後ろに棒のように立っていたわたしを見ると、そう尋ねてきた。
「言っておいたでしょう。今度、わたし達の一行に加わる、マリアベルですよ」
「あらー、そういえばそのようなこと仰ってましたわねー」
その人は、黒いローブのフードをフサアとまくり上げた。
すると、そこからこぼれ落ちたのは、長い豪奢な金の髪。
緩やかなウェーブは華やかな輝きを発しています。
そして、その中心に据えられた容貌は……。
「わたくしの名はミラ。よろしく願いますわ~」
絶世の美少女が、そこにはいました。
ミラ・王子まで終了したら完結させます。
もうしばらくお付き合い願います。