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勇者様は何者的、な。

申し訳ありませんが、ただ今スロー更新中。


 あっという間に朝がきました。


 ついうっかり田舎の自分の家にいるつもりで、目が覚めた瞬間飛び起きて朝の一仕事に出かけようとしたら、うっかり立派すぎるベッドから転げ落ちそうになりました。


 うん、わたしの家のベッドは藁葺つくりで、簡単に床に足がつく高さでしたからね。


 ああ、そうか。今わたしは王都にきているのだっけ、と思い出すのにしばらく時間がかかりました。


 だって、今でも夢のようですから。


 はい、悪、のつく方の。


 

 それはそれとして、わたしはクールな侍女さんのテキパキした給仕を受けながら、簡単な朝食を頂きました。


 ええ、また名前を聞きそびれましたよ。


 だって、声を挟む余地もないほどテキパキと動かれるんです。


 クールな侍女さんは、お仕事も有能なようです。


 きっと、仕事には私語は挟まないタイプなんです。


 きっと、真面目に仕事に取り組まれる方なんです。


 ……嫌われ、て、なんて、いませんよね?



 ちょっと朝から心を折られそうになりながら、わたしはまた神官長様とご対面。


 神官長様は今日もにこにこと優しい笑みを浮かべられています。


「おはようございます、マリアベル。昨夜よくお休みになれましたか?」


 さすが神官長様です。


 最初の一声がわたしへの労りのお言葉とは。


 もったいないことです。


「はい、ありがとうございます。よく眠れました」


 わたしは、枕が変わったくらいで眠れなくなるような繊細な人間ではありませんので。


 いえ、実際枕が変わる以上に環境の変化はものすごいものがありますが。


「それはよかった」


 神官長はそう言って頷くと、わたしを扉の方へ促しました。


「では、これから次の勇者一行のメンバーに会いに行きましょう」


「はい。……あの、今日は勇者様は?」


 昨日は背後霊のようにひっつかれていたので、本日もそうなるかと一応の覚悟はしていましたが。


「はい。彼は今朝早く魔物の気配を察知して出かけて行きました」


「そうなんですか。……でも、昨日は一瞬で行って戻ってきませんでしたか?」


 今朝早くに出たなら、戻ってきていてもおかしくなさそうですが。


「ああ、そうでしたね。ただ今日は数が多いそうなので手間取っているのでしょう。一匹一匹は弱い魔物のようですが」


「へえ、そうなんですね。数はどれくらいですか? どんな魔物なんでしょうか?」


 何気ないわたしの質問に、神官長様は笑みを浮かべたまま仰られました。


「羽虫のような魔物で、小型の動物に寄生して死に至らしめる魔物のようですね。馬や牛のような大型の動物や人間を害するまでの力はないようです。今朝方大量に卵が孵化したらしく、数は一万匹くらいでしょうか」


 い、一万……。


「あの、それ、勇者様お一人で大丈夫なものなんですか?」


 それこそ、勇者様一行で対処された方が……、とのわたしの質問に神官長様はあっさりと大丈夫ですよ、と首を振られました。


「だって、勇者ですから」


 ……勇者様って、何者なんでしょうか。



次回は騎士団長、登場。

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