あっという間の一日でした的、な。
なかなか進まない……。
その日はもう遅くなったということで、続きの話はまた明日にとなりました。
一緒にとった夕食の後、今日はもう休むようにと、わたしはこれから使わせて頂くことになる私専用のお部屋に案内されました。
勇者様はついてきたがりましたが、神官長様が全力で止めてくださいました。
「なぜだ、なぜいけない? やっと会えた大切な妹と一緒に寝たっていいだろう」
いえ、困ります。いけません。
「それが許されるのは幼児までです。いいわけがありません。もういいかげんに世間の常識というものを身につけてください!」
神官長様、本当にありがとうございます。
そんなやりとりの後、案内してくださったのは、とってもクールな侍女さんです。
神官長様に、「彼女はあなたの専属の侍女になるので何かあったら彼女に言いなさい」と紹介されました。
わたしごときに専属の侍女さんがつくなんて、とっても恐れ多いことですが、何しろわたしは田舎から出てきたばかりの右も左もわからない、普通の女の子です。
神官長様はとても優しく接してくれますが、やはり遥か高い地位にいらっしゃる男性です。
身近な存在になるであろう同性の侍女さんは、相談相手として頼りにできたらな、と正直ありがたく感じました。
だけど、わたしの専属侍女さんは、とってもクールな方のようです。
どれくらいクールかというと、神官長様より彼女が専属侍女だと紹介されたわたしが、「はじめまして。わたしはマリアベルと申します。どうぞ、よろ……」と初対面の挨拶を言いかけたところ、「ではこちらへおいでください」とバッサリと切り捨てて、置いて行かれるかと思うスピードで歩き出し、一言も会話を交わすこともないまま部屋まで案内されたくらい。
そして、部屋まで案内されたら、「ではこちらのお部屋になります。ご用がある時にはそちらのベルをお鳴らしください」と言って、すたすた去っていかれました。
はい、とってもクールです。
お名前くらい、教えて頂きたかったのですが。
……嫌われてる、なんてことはないですよね?
あ、そういえば勇者様のお名前も聞き忘れていました。
まあ、こちらはいいですか、別に。
さて、明日の為に今日はもう休みましょう。
ふわあ、と欠伸を一つして、今まで見たこともないような綺麗で清潔なベッドに横になるなり、私は夢の世界へ旅立ちました。
また次回お願いします。