プロローグ的、な。
また、はじめてしまいました。
更新はゆっくりめです。
よろしくお願い致します。
紅茶、おいしい。
あ、はじめまして。
わたしはマリアベルと言います。
至って普通の十六歳の女の子です。
「どう? 今回はハーブの香りを抑えめにしてみたんだけど」
「はい、とってもいい感じです」
わたしに声をかけてきた人は、わたしが住む国の王子様です。
金色の髪がキラキラと輝く、お顔もとっても美しい、まさに王子様、な王子様です。
そんあ王子様にお茶を淹れてもらってるわたしは何者かって?
ええ、だから普通の庶民の女の子です。
貴族ですらありません。
ふう、お茶おいしい。
さっきから後ろが騒がしいけど。
「だーかーら、次の休みは俺がマリアベルと一緒に買い物に出かけるんだ! 邪魔する奴はぶっ潰す!」
そうおっしゃるのは、この国の勇者様。
「このクソガキが生意気な! マリアベルの休みはわしと一緒に食事に行くと決まってるんだ。やる気かこら、返り討ちにしてくれるわ」
そうおっしゃるのは、この国の騎士団長様。
「はーん? 二人ともなにを言ってるのかしら。マリアベルはわたくしに付き合って魔道具作りするって決まってるのです~。この前考えた新魔法、試されたいのかしら?」
そうおっしゃるのは、この国の首席魔法使い様。
「…………みなさん、少し落ち着いて。みなさんが本気でやりあったら国が滅びます。…………胃が痛い…………」
そうおっしゃるのは、この国の神官長様。
なにやらわたしの休日を巡って争ってるようですが、わたしに選択権はないのでしょうか。
と、そんなわたしの心の声が聞こえたのでしょうか。
御三方はぐるりとわたしの方を向いて言いました。
「なあ、マリアベル! もちろん生き別れの兄だった俺を選ぶよな!」
わたしには生き別れの兄はおりませんが。
「マリアベル、たまには父親に付き合ってくれてもいいだろう?」
わたしには騎士団長様の父親はおりませんが。
「ねえ、マリアベル? もちろん選ぶべきはソウルメイトのわたくしよね?」
ソウルメイト……、重いです……。
事の成り行きを神官長様が心配そうに、王子様がすべてを悟ったような笑みで見守っています。
はて?
いったい何がどうなってこうなったのでしょうか?
わたしは片手を頬にあて、首を傾げました。
わたしは至って普通のしがない、何の特徴も特技も持たない、一般庶民の女の子でしかありませんのに……。
次回もお願い致します。