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番外三話 今代勇者と愉快な旅路

今代勇者は困惑した

迷宮都市を目指して馬車で出発してから、2日目が終わろうとしている

そう、まだ2日なのだが

その間にあった事を説明して行こうと思う

まずは、1日目の終わりも近い夕焼けの街道

その間に現れたモンスターの群れ

討伐ランクC+の「フレアウルフ」15匹

普通ならBランクに数えられるレベルの群れだった

闘いが始まった時にしばらくは小鳥遊(タカナシ)は酷く怖がって馬車から降りることができなかったのだが

少し経ってから覚悟を決めたのか、小鳥遊がテイマー用のタクトを持って馬車から降りてくる

そしてフレアウルフ達に対面したのだが、フレアウルフは小鳥遊と目があった瞬間にいきなり平伏して、小鳥遊の従魔になることが決まった

旅を始めて約5時間、不確定戦力だった小鳥遊が無事契約を果たし、勇者としての力の片鱗を見せた

そしてその数十分後、野営の準備が終わった辺りの時フレアウルフ達が呼んだのか、フレアウルフの上位個体である討伐ランクBの「バーニングウルフ」が1匹と取り巻きの「フレアウルフ」が50匹以上現れた

執事さんに後で聞いたのだが、ここまでくると、騎士団が出動し、尚且つ冒険者ギルド(最初になんか登録されてた)で強制召集がかかるレベルの群れらしい

小鳥遊はこの群れに、何やら聞きなれない音(小鳥遊曰くフレアウルフ達の意思疎通用の鳴き声)でバーニングウルフと交渉して、その後にそれぞれの統率力を競い、僅差(常人には理解不可)で小鳥遊が勝ったようで、バーニングウルフ共々、配下(彼女曰く友達)に加わり、そしてフレアウルフの基本的な管理はバウちゃん(バーニングウルフの事、命名は鏡戀(キョウレン))に任せるそうな

今後野営はバウちゃん達に任せると良いとか言ってたので、それでいいのかと執事さんに問うと、普通の事のように執事さんはこれを許可した

「執事さん、対応力高すぎません?」

思わずいってしまったのだが

「先代の「空間結界(ディメンションバリア)」よりマシですよ」

とのこと

「先代って100年以上前の勇者の筈なのに、体感したみたいに言うんですね」

と、軽い調子で聞いてみると

「ええ、先代もこのように面倒見ましたから」

と軽くすごいカミングアウトが帰ってきた

「ええ!?いやあなた何歳なんですか!?」

驚き半分叫ぶように聞いてみると

「えーと、数えなくなって久しいですが…簡単に言うとあの国が建国した時あたりですかね」

建国って言ったら、それって大体…

「3000年以上前じゃ無いですか!」

ご老人どころか、古代遺産(アーティファクト)級じゃないか!

「はい、何せ初代勇者の一員ですから」

はあ!?

「はっはっは、流石に冗談ですよね」

冗談だと言うことに期待するしかないってのが本音だが

「私がこのタイミングでこんな冗談を言うことになんのメリットが?」

…ハイ見当たりませんね

「えーと執事さんは、勇者なんだったら、どんな能力が使えるのですか?」

勇者は全て能力(ギフト)を授かる

それを無しに勇者を名乗ることは重罪に匹敵する、らしい

「能力ですか…それは」

そういった瞬間、目の前から執事さんが消えて、そして背後から、先ほどのセリフを途切れさせることなく、執事さんの声が響いた

「時間を操作する、という非常に地味な能力でございます」

その言葉を聞くと共に俺は、いや俺たちは皆、意識を沈めていった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


さて、昨日の衝撃的な事実は記憶の底に沈めた後に

迷宮都市への旅の2日目の話だな

まず最初に初日から増えまくった仲間達だが、それに関してはバウちゃん以外を小鳥遊が新たな称号と共に手に入れた「異次元世界(ディメンションワールド)」とか言う、異次元に地球とほぼ同じ大きさの世界を創り出して、契約した配下を住まわせることができるって言う「完全魔獣使役」の名に相応しいスキルを身につけていた

残念ながら俺たち人間は入れないが、その代わり内部には、独自の生態系が築かれていて、外敵が入ってくると、その外敵に適した強さになり、決して狂わず、しかも食料に困らず鍛錬にもなるというまさに従魔のための世界である

ちなみにフレアウルフ達には火山周辺に住まわせておいた


そんな感じで、まあ旅は続いているんだが

バウちゃんの魔力波で他の魔獣は近付いて来ないし

勇気ある上位個体は軒並み小鳥遊に平伏しだすしで、ヌルゲーにもほどがある

結果的に予定よりも早く進んで、夕方には目的の野営場に着くことができた

その時点で彼女の配下に加わっていたのは

スプラッシュウルフ+アクアウルフ×約50

サイクロンウルフ+ブリーズウルフ×約50

ロックウルフ+ストーンウルフ×約50

となっていた

流石勇者の能力と言うべきか、その全てを軋轢なく取りまとめていた

そして2日目の野営は水はアクアウルフが出してくれて、かまどはストーンウルフが用意したし、火種はフレアウルフが生み出して、火力の調整はブリーズウルフが担当したおかげか、野営とは思えない出来の料理ができた

そうやって、過酷かと思われた迷宮都市への旅は、大変気楽で快適に続くのであった


尚、これは余談だがこれにより、それから200年程は狼型の魔物による王都周辺の村に対する被害は激減したそうな

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