番外四話 今代勇者と小さな決意
今代勇者は狂喜に震えた
新たな仲間が増えて、数日が経過した
まあ、あれから魔獣の襲撃が皆無になった
だがまあ、馬車を狙うのは魔獣だけじゃあない訳で
所謂盗賊共です
そいつらは俺らをただの行商人か乗り合い馬車か何かだと思ったようで、無防備なことに普通に襲いかかってきてたんだけど、やっぱり対人戦は気がひけるようで、小鳥遊もウルフ達をけしかけない
そんな時に震えながらも前に出たのが、火好 紅李だった
彼女は、みんなを鼓舞する為か
「先手必勝!」
とか、震えた声で言って
彼女なりに威嚇のための魔術を発動したつもりだった
そう、ただのつもりでしかなかった
その魔術は大地を抉り、それによって飛び散った石は盗賊の頭を貫き、手足を切り裂き、盗賊たちを蹂躙した
言ってしまえば、そのまま焼くよりグロい結果になった、という事だ
ん?その時の俺らの反応?
ああ、俺と執事さん以外全員吐いたよ、勿論
実際俺は魔力生命体に変わってしまってからは、ずいぶん精神的なダメージに強くなった
まあ、そもそも精神力が身体を作ってる状態だから当たり前なんだがな
あとは、物理的な攻撃で、ダメージを受け辛くなった
そりゃあ実際は実体がないから物理攻撃でダメージは受け辛いだろう
まあ、多少魔力が散るから、死が近づくのには変わりはないが
まあそんな理由もあって、俺は大丈夫だったし
執事さんに関しては、もうなんども経験しているので、大丈夫らしい
まあそんな感じの事があって、火好さんは執事さんに魔力制御を教えてもらう事になった
模擬戦で同じことされたら叶わねーからな
まあ、その日の襲撃はその時ともう一回あっただけだが
それは、霧舞 劉兎が交渉(脅迫)して事無きを得た
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そうこうしているうちに、迷宮都市に着くことができた
執事さんがいうには
「まあ、予定より随分早かったですが、想定外ではありませんでしたね」
とまあ、そんな調子なわけで
今は長旅で疲れた体を休めるために今日、明日、明後日とは休みにしてくれた(実は明々後日が到着予定日)
やはり勇者といえども異世界人である
異世界の文化には興味が尽きないようで、さっさと観光に行ってしまったのが、3名(内二人は強制連行)
魔力制御の居残り授業が1名
そして、そのどれでもないのがこの私、鏡戀 廻邏です
観光や、食文化には興味が無いとは言えませんが、しかし余り動きたくないのも本音です
まあ、予定よりも早いせいか、殆ど注目を浴びることがなかったのですが、やはり勇者だというだけで、注目を集めてしまいます
そうした視線を潜り抜けて、入ってきたのは迷宮都市だ
多くに冒険者が一攫千金や、魔剣聖剣を求めて集う場所だそうです
実際ここまでの道のりは、小鳥遊さんと火好さんによって何も起こることはありませんでした
だから迷宮内部こそ、自分が皆の役に立ってみせる
そう密かに決意して、世は更けていった




