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激甘・団子・レンジ  作者: kotarouop
3/3

団子・激甘・レンジその3

 「私は一日百個限定のあの店の団子がどうしても食べたい。今すぐ行って買ってくればレンジの一台や二台快く君に報酬としてプレゼントしよう。」

 あの人の依頼はくしくも彼女と同じだったわけだ。

 しかし、時刻は現在三時。

 あの店の開店は午前十時から。

 もう商品が残っている可能性は限りなくゼロにちかい。

 だいたい僕はこの子と一緒にあの人の家に行こうと決めたときからもう彼女の依頼は完全にあきらめていた。それなのにまさかこんな風にまたあの店を目指すことになるとは。

 いやはや、人生ってのは何が起こるかわからないものだね。

 「お兄ちゃん今から行って間に合うの?」

 「まにあわせるよ。大丈夫僕を信じて。必ず団子を買ってきてレンジを君にプレゼントするさ。」

 僕は女の子を自転車の後ろに乗せてペダルを踏み込む。

 いまさらもう遅いかもしれないけれど。

 どんなに後悔してももう家を出たあの時間に戻れるわけじゃないけど。

 それでも1%の望みを信じて、全力でペダルを踏む足に力をこめた。

 「しっかりつかまっててね!」

 「うん!」

 後ろから伝わる圧力が増して僕の胸の鼓動もよりいっそう早くなり、自転車の速度を最速まで上げ目的の場所まで目指す。


 目的の場所につき目にしたのは残り一つとなった団子だった。

 そう、残り一つしかなかったのだ。

 しかし僕は迷わなかった。

 ごめん、と心の中で彼女に謝り僕は手に入れた団子を持ってあの人の家へと帰る。

 今更だがこの女の子を連れて買いに行く意味も全然なかったかな。

 でも、ここに来るまでの道中僕の自転車の後ろで「はやーい」とか言って喜んでたし、ついでに僕に抱きついてきたりして満足してたし、僕も満足していたし、それだけでも連れてきた意味はあるってものか。

 僕はあの人の家に戻り団子を渡して引換にレンジを預かりこのムダにでかい家から解放された。

 時刻はもう夕方の六時になろうとしていた。

 このままではこの子の親が心配するだろし。

 早くこの子も家に送り届けてやらないとね。

 「帰ろうか。」

 「うん!」

 僕は自転車の後ろにこに小さな女の子を乗せ来た道をゆっくりと走った。


 僕が女の子を家まで送り届けると家の人に大げさなくらいに感謝された。

 まあ小さな娘さんがこんな時間まで来ないとやっぱり親としては不安だよね。

 夕飯に招待されたけど僕は丁重にそれをお断りして僕は僕の家路をゆっくりと、ものすごくゆっくりと帰った。帰るときに「ばいばい。ありがとうお兄ちゃん。」と言ってくれた笑顔を僕は一生忘れない。

 さて、問題はこれからだ。

 何が問題ってそれは生きるべきか死ぬべきかだとどこかの人は行っていたみたいだけど、今の僕が問題にしているのは彼女にどうやってうまい言い訳をしようか考えることだ。

 答え方に失敗すると一気にデットエンドに行ってしまう。

 僕は出来るだけゆっくり、それはもう亀の如きスピードで家路を目指していたのだが進んでいればいずれはついてしまうわけで、僕は今家の目の前でいい案も思い浮かばず悩んでいた。

 しかし、こうして悩んでいるじかんが増せば増すだけ時間超過の罪を増加してきもう考えることにも疲れ始めた僕は意を決して扉を開けた。

 考えは思いつかなかった。

 「ただいま。」

 「今何時だと思ってるの?団子買いに行くのに何時間かけてるの?あんたどれだけ無能なの?本当にありえない。まさかここまでのろまだとは今まで一緒に暮らしてきて全然気がつかなかったわ。」

 「ごめんごめん。」

 「それで、団子は?早くよこしなさいよ。」

 「それが・・・。」

 僕は覚悟を決めて今日一日の出来事を語った。

 「というわけで、団子はない。諦めろ。」

 話し終わる頃には僕はもう開き直ってた。

 「諦めろ。じゃないでしょ。このロリコン野郎。本当にありえない。しね。」

 「何とでもいえ。だがしかし僕は後悔していない。なんたって僕は可愛い女の子の味方だからね。」

 「だったらその子の家にでも永住してろ!」

 光の速さかと見紛うスピードで放たれた拳は僕の鼻っ柱に直撃し僕は宙を舞う。

 彼女はそのまま自分の部屋へと戻って行きその日は口を聞いてもらえなかった。

 

 次の日の朝。

 僕はまだヒリヒリする花を抑えながらリビングに朝食を食べに移動する。

 そこには僕と彼女のふたり分の食事があった。

 あれだけ怒った後でも彼女は僕の分を作ってくれるのだ。

 そうゆう言葉に出さない優しさが僕は結構気に入っている。

 まあ団子の件は僕が悪いわけだしね。

 「いただきます。」

 「いただきます。」

 僕が席に着いて一緒にご飯を食べる。

 それが我が家のスタイルだった。

 食べるときは絶対にふたり一緒に。

 一緒に暮らすことになった時に二人で決めたルールだった。

 「ねえ。」

 「なに?」

 「今日買い物行くから付き合いなさい。」

 「今日?また随分急だね。」

 「昨日のバツよ。あんたに拒否権ないから。」

 「はいはい。仰せのままに。」

 どうやら今日も彼女のわがままに付き合わされる一日になるらしい。

 やれやれ、しょうがないな。

 確かに昨日の件は僕が悪かったしね。

 僕も小さい子にばかり甘いのは考え直したほうがいいのかもね。

 「あんた荷物持ちね。」

 そう言って笑う彼女の笑顔を見て僕は思う。

 そうだ。この笑顔が僕を彼女に縛り付ける。この笑顔が僕を彼女から離れさせることを許さない。

 きっとこれから先どんなことがあっても僕はこの笑顔のそばにいるだろう。

 「ねえ。好きだよ。」

 「・・・はあ?」

 照れて赤くなる彼女。

 最高に可愛い。

 「な、何言ってんの。いきなり、こんな朝から。」

 「いや、言いたくなっただけ。」

 「はぁ?い、意味分かんない。」

 「ごちそうさま。早く出かけよう。」

 「う、うん。」

 僕たちは食器を片付け出かける準備をして玄関を出た。

 「あ、あのさ。」

 「なに?」

 「私もすきだよ。今までもこれからも、ずっと。」

 そう告げた彼女の顔は今までに見たこともない恥らいを込めた笑顔で、僕はまたこの子に惚れ直して、きっと僕たちはこれからもずっと幸せなんだと確信した。

 「じゃあ行こっか。」

 「あ、うん。」

 僕たちは手を握り歩き出す。

 ふたり同じ道を笑顔で。これからもずっと。

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