ゲームの世界へ⑦
「次に称号の説明をいたします。」
ああ、この王女ってでているやつのことね。
そう思いながらも嫌な予感しかしない。
「マヤ様の称号は王女となっております。
その名の示すとおり、この始まりの国”マーテル王国”の王女となります。
この称号というものは物語の上での役割を表すものですので、その程度だと思っていただければと思います。」
「へー、やっぱりそうなんだね……
なんて言えるかー。
なんでリアルでは男のボクが王女なんてものにならないといけないんだよ。
というか何その勝手に決めちゃうシステム的な要素は……」
「それは仕方ありませんよ。
このゲームはリアルにより近いというのがコンセプトなのです。
ということは自分の出生にいたっては普通ならば自分で決められるというのはありえないのですから……」
「うぐ……
そう言われたらそうなんだけど」
そうだよね。
リアルに近いということはそういうものだ。
それにシステムが勝手に作ったキャラクターといってもほとんどがリアルの自分に近いものとして作られているからこのキャラクターになっているんだろうけれど……
でも自分の役割が王女というのは似合わなさすぎてなんとも恥ずかしいだけだ。
「そうだ、最後の一つの説明がまだじゃないんですか?」
「はい、魔法ですね。
それはここで実践しながら覚えてください。
まず、この精霊加護というのの後に示されているのが使える魔法の属性だと考えてください。
マヤ様のだと水ですね。
おわかりかと思いますが、魔法の発動には気力を必要とします。
この気力を使うことによって魔法が発動します。
ただ、この気力というものは体力と違って、数値が上昇しません。」
「え?」
「えっとですね。
簡単に言いますと、気力というのは体力と違って鍛えられるものではないため上がらないと考えていただければと思います。」
「確かにわからないですけど……
それなら魔法発動時に気力がもともとたりないものができたらどうするんですか?」
「それはわかりかねません」
「いや、わからないって……」
おかしい。
気力が上がらないというわりには、その気力では発動できない魔法があるかと聞くとありそうな感じにごまかす。
これってどう考えても何かシステムをまだ隠しているとしか考えられない。
たぶんそれは物語を進める上でわかっていくことなのだろうけれど、これでは初歩的なことしか教わっていなさすぎることになる。
と……
あんまり考えすぎてもよくわからないかな。
とりあえずは最後まで話しを聞かないと……
考え込んで俯けていた顔を上げると、それを待っていたかのように最後のレクチャーが始まった。