ゲームの世界へ②
「なんでこんなことに……」
始めてしたダイブ式オンラインゲームで運営の不手際のせいで女体化する僕って何?
呪われてもいるのだろうか?
そう考えながらも一応自分の身なりを確認していく。
鏡には髪が長くて可愛い女の子が立っていた。
目はパッチリと開いているし、体も線が細くて……
って言ってて悲しくなるからやめよう。
あと、こんな感じの女の子をゲームじゃなくてリアルで二日ほど前に鏡の前で見たというのは考えないでおきたい。
っというかボクって胸がある以外は全て変わらないというのはショックだ。
そんなことはさておき、ここはどこなのだろうか?
適当に進んでいいものなのかな?
自分が寝ていた部屋を見渡してみる。
それにしてもかなりこの部屋は内装なんかにもこだわっているようにみえるけど、どういう部屋なんだ?
だからそれとなく部屋の中をテクテクと歩いていると部屋の扉が不意にノックされる。
「お嬢様、よろしいでしょうか?」
お嬢様?
誰それ?
ここに女の方はいませんが?
頭の中で軽くパニックになってそう考えていると、もう一度ノックをされる。
「マヤさん?
どうかしたの?」
あ、これってボクのことだったんだ。
「えっとどうしましたか?」
たぶんこのままだと扉の前で何時間でも待ってそうな感じだったのでこちらから返事を返す。
「あの入ってもよろしいでしょうか?」
「いいですよ」
いや、だってね、入ってもいいでしょう。
だってそもそもここボクの部屋じゃないんだよ、たぶんだけど。
というよりもまずは色々と説明を受けないといけないので入ってきた給仕姿の女性に聞いてみるのが一番だと思う。
「失礼します」
扉を開けて入ってきた給仕姿の女性は年の頃はボクよりも少し上くらいだろうと思う。
そんな給仕さんの特徴は、腰に二本の小刀を装備していることだろうと思う。
もしかして襲われたりしないよね……
そんな不安を持ちながらもその給仕さんが近寄ってくるのを待つ。
こういうのは後から会話をするのがいいのだ。
だって後出しジャンケンは強いだろ。
なんてことを考えていたが、一向にどちらも口を開かないまま給仕さんが距離をだんだんと詰めてくるという状況に陥っているが、これはどういうことだろう。
普通は現地人と呼ばれるNPCがまずはどんな形であれ話しをしてくるはずなんだけど……
だけど一向ににじり寄ってくる給仕さんはあと数歩でボクの近くまでこれるとわかった瞬間加速する。
はやいと思った時には反射的に腕を前に出していて……
そのパンチともいえない何かは給仕さんの右の頬を捉える。
「あふん……」
そしてやたらと色っぽい声をだしながら数歩後ずさると、こちらをキラキラと輝く目で見てきたと思うと一言物申した。
「もっと、ぶってくださーい」
そしてボクは思った。
え、ただのMが何しにきたの?