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雲は遠くて  作者: いっぺい
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26章 信也と 詩織の ダブル・ライディング (2)

26章 信也と 詩織の ダブル・ライディング (2)


「マスコミの取材とかは、モリカワ・ミュージックで

管理してるから、その点は、安心だよ、詩織ちゃん。


いくら お金になる ビジネスでも、

おれたちに無理むりとなるような、

こちらの 都合つごうがつかないものは、

すべて、おことわりの、方針だから、

だいじょうぶなんだよ。


モリカワって、徹底して、良心的だよな。

さすが、純のおやじさんの会社だよ。

商売っしょうばいっけないくらいだけどさ。

あっはっは。

でもね、

レコード会社によっては、

はたらはちにみたいに、

やたら、仕事させられて、こき使われてるようだよね。

ミュージシャンに 入ってくるべきの 印税いんぜいとか、

音楽事務所とかに、吸い取られるのが多いらしいし。

その点も、

モリカワは、良心的で、安心できるんだ。」


「それは、よかったわ。わたし、学業と、

ミュージシャンと 両立できるかなぁ?とか、

いろいろと 考えちゃったから」


「モリカワ・ミュージックって、一応いちおう

メジャ-・レコード会社として、全国で、CDの販売が

できているわけだけど、

実際には、販売網はんばいもうを持つ 会社に、

販売業務はんばいぎょうむ

委託いたくしているんだよね。

おれたちのアルバムの発売元の、

モリカワ・ミュージックは、まだ設立して、2年足らずで、

日本レコード協会の

正会員ではない、インディーズ・レーベルで、

正確には、メジャー流通のインディーズ

というべきなんだよね、まだ」


「うん、それって、知っている。日本のレコード会社で、

販売機能を持つ会社は、エイベックスとか、

ビクターとか、現在17社あるのよね」


「うん、そうだね。それに、よく、

メジャーと、インディーズでは、アティーストの収入は、

10倍もちがうといわれるよね。

メジャーの場合、作詞、作曲などのすべての印税は

アーティストには 5%とか。

インディーズの場合ならば、CD制作費が20%、

流通に 30%として、残りの 50%は、

アーティストの手元に入いる 計算らしいんだ。

うちのモリカワも、アーティストには、

50%くらいだというから、個人に対しても良心的だよね」


「そうなんだ、モリカワって、すごく、いい会社なのね。

わたしも、モリカワに就職しゅうしょくしちゃおうかな。

そうそう、しんちゃん、

最近、世間せけんさわがせている、

食品偽装しょくひんぎそうのニュース!

モリカワには、かえって、順風じゅんぷう となって、

良心的な モリカワの外食産業は、

ものすごい、商売繁盛しょうばいはんじょうで、

大人気だっていうわよね!」


「ああ、あの、エビのブラック・タイガーを、

伊勢いせエビ だとか、

いつわったりする、

食品偽装しょくひんぎそうのことね。

わらっちゃうよね。

あの事件のおかげで、

モリカワは、その仕事の誠実さや信用度が、

世間から 高く 評価されちゃったわけだからね。

あっはは。

うそだらけの世の中だから、

モリカワのような、マジメにやっている会社が、

人気になるのは当然なのだろうけど。

わらえるよね。あっははは…」


「ちょっと、みんな、何のための仕事なのかとか、

何のために生きているのかとか、

考えたほうがいいのかもね。

なーんって、

えらそうなことをいっている、わたしもだけど」


「詩織ちゃんのおっしゃるとおりですよ。

おれなんかも、お金のためだけに、

はたらいているんでもないし、

お金もうけのために、

音楽やっているんじゃないからね。

ちょっと売れたからって、

芸能人とかになる気もないし、

会社勤つとめは、続けるつもりだし」


「しんちゃんは、愛と正義のためだものね!

わたしも、特に、芸能人とかには

なりたいとは思わないな。

楽しく、音楽活動ができれば、十分じゅうぶんだわ」


「おれも、詩織ちゃんも、いつも元気で、

ベストをたもって、そして楽しく、

マイペースでいいんだから、

いい音楽 作ったり、バンドやっていこうね!」


「うん、しんちゃん!」


信也と 詩織は 声を出してわらった。


「詩織ちゃん、きょうは天気もいいから、

バイクで、どこか、メシでも食べにいこうか?」


「うん、賛成!どこかへ連れてって!

安全運転でね!うっふふふぅ…」


「よっし!おまかせ!あっはは…」


わらいながら、ふたりは、さっそく、着替える。


それから、数分後。

ペア(そろい)の バイク・ヘルメットの、

ふたりを 乗せる、イタリアンレッドの、

ホンダ・CB400・スーパー・フォアが、

マンションの地下の駐車場から、

フォン、フォン、フォーン!クァァ アアアーン!

と、軽快な金属音を響かせて、

郊外こうがいへ、風のように 走り去った。


≪つづく≫  --- 26章 おわり ---


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