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雲は遠くて  作者: いっぺい
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20章 店長・佐野幸夫の誕生会 (2)

20章 店長・佐野幸夫の誕生会 (2)


9月7日の土曜日の午後1時。

空は 気持ちよくれている。


美果みかちゃん。経営の不振ふしんで、

閉店へいてんを考えていた店が、その

25年間で、売上1000億円って、やっぱり、すごいよね!」


代々木上原駅よよぎうえはらえき

南口みなみぐちを出ると、

佐野幸夫さのゆきおは、

真野美果まのみかに、そういった。


「25年間で、売上うりあげ1000億円って、

森ちゃんのおとうさんの会社のこと?」


「そう、森ちゃんちの、フォレスト(Forest)のこと」


「へー、そうなんだ!フォレスト(Forest)じゃぁ、

わたしも、CDとか、りるときあるわ」


美果みかはそういって、佐野にほほえむ。


佐野は、ちらっと、美果の、すそがひろがる、

ブラックの フレア・スカートに 目がく。


美果のあしって、きれいだよな、

さすが、女優じょゆうさんだよ。いつも佐野はそう思う。


「えーと、美果みかちゃん。

うちのモリカワが、先月の8月、

総店舗数そうてんぽすう、200店を達成して、

売り上げが、400億になったんだけど。

えーと、

モリカワの目標は、5年間で、1000店舗でさあ、

それはちょっと 無理むりだとしても、

5年後には、700店舗くらいは達成できるとして、

売上(うりあげ1400億くらいはいくだろうなって。

そんなわけで、

森ちゃんとこも、すごい 成長力だけど、

おれらの、モリカワもすごいなって、思うんだ」


「ほんとうね。森ちゃんちと、森川さんちって、

やっている 業種ぎょうしゅが違うから、

いまもなかはいいけど、

同じ業種だったりしたら、どうなっていたかしらって、

思うわよね」


「まったくだよ」といって、佐野幸夫さのゆきおは わらう。


真野美果まのみかも わらった。


ふたりは、青信号になるのを見ながら、

国道413号、

井の頭通いのがしらどおりの交差点を わたる。


「このへんは、しずかな住宅街だね」と、佐野幸夫はいう。


下北しもきたもいいけど、このへんも、いいよね。

いつか、わたしたちの、

マイホームが、このへんなんていうのも、いいわよね」


と、真野美果まのみかは、佐野を見て、ほほえむ。


片側一車線、制限速度30キロの、通学路と書かれた、

黄色きいろ

標識ひょうしきのある道を、ふたりは、南へ、歩く。


道の左側ひだりがわに、7段の石段のある、

渋谷区上原公園があって、みどりも豊かだ。

ブルーやピンクのベンチがいくつもいてある。


そのすぐそば、右側には、中学校の正門があって、

小学校も、道の左方面の、すぐ近くにあった。


このあたり、上原3丁目には、

古賀政男音楽博物館(こがまさお おんがく はくぶつかん)

がある。


古賀 政男は、昭和期の代表的作曲家、ギタリストで、

国民栄誉賞受賞者(こくみん えいよしょう じゅしょうしゃ)

である。


代々木上原は、作曲家古賀政男が1938年(昭和13年)に、

うつんだ まちであった。


古賀政男は、音楽創造に 邁進まいしんする 同志どうし

集めて、代々木上原よよぎうえはらに、

音楽村をつくろうという 構想こうそうを持っていた。


古賀政男音楽博物館は、そんな古賀政男の 遺志いし

引きいで、誕生した、大衆音楽の博物館である。


≪つづく≫ 


☆発行者:いっぺい


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