表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雲は遠くて  作者: いっぺい
.
7/292

6章 信也のマンション (その1) 

川口信也かわぐちしんやは、大学卒業後、

山梨に帰ったものの、同じ商学部の友人、

森川純もりかわじゅんの父親の経営する株式会社モリカワの、

ライブハウスの経営を、東京を初めとして、

全国展開するという話に乗って、

森川純たちと仕事をすることに決めた。


そして、この2012年の10月から、東京の下北沢の町にある、

マンションを借りて暮らし始めた。


2DKのマンションを、ひと月13万円の賃料ちんりょうりた。


東京の相場そうばでは、部屋が2つとダイニングとキッチンの、

2DKは、アパートならば、10万円くらいと、

マンションよりは、3万円ほどやすかった。


信也は、その3万円の差に、ちょっと迷ったのだが、

学生のときはアパートだったことや、

株式会社モリカワでの初任給は26万円で、

課長という役職手当てあてが3万円なので、

合計29万円になることもあって、

「余裕じゃん」と、マンションに決めた。


山梨に戻って、勤めた会社の信也の初任給は20万円だった。

川口信也の田舎いなかの、山梨県では、

2DKのマンションが、5万から6万円くらいで借りられるのだから、

今借りているマンションの13万円という、

その差には、信也もちょっとおどろいた。


しかし、いまの給料は29万円、山梨のときは20万円なのだから、

住居費をくと、手もとに残る金額は、

どちらも、15万円くらいになるわけで、

信也は、「なんなのだ、これは?」と、

そんな変なところに、妙に、感心したり、

苦笑いをしたり、納得したりしていた。


株式会社モリカワでは、森川純の父親の、

社長の森川誠まことと、森川誠の弟である、

副社長の森川学まなぶの、

強い推挙すいきょで、

早瀬田大学の商学部を卒業して入社したばかりの、

バンド・サークルのMFCミュージック・ファン・クラブの、

ロックバンドのクラッシュ・ビート(Crash Beat)のメンバー、

森川純や川口信也、

高田翔太たかだしょうた岡林明おかばやしあきらの4人が、

課長職についた。


そのような新たな経営体制で、

ライブハウスの、東京での展開、次に全国展開という、

壮大なプロジェクト(計画事業)を

開始することになったのであった。


現在、居酒屋や喫茶店などの外食事業も幅広く開始している、

正社員だけでも300名を超えている株式会社モリカワでは、

この4人の若者の大抜擢だいばってきが話題になった。


おおよそ、この人選は、「あの目標やスケールの大きい、

社長たちのやることだから」と、

社員たちには好意的に受け入れられた。


下北沢で、洋菓子スイーツやパンを売る小さな店だった、

株式会社モリカワの、この10年間ほどの急成長や、

斬新ざんしんな経営は、

しばしば、雑誌などのマスコミでも取り上げられるほどだった。


社長や副社長は、一種、カリスマ的な雰囲気の存在感であった。



川口信也のマンションの玄関のチャイムがゆっくりと1度だける。


テレビ・ドアホンの広角ワイドな、

カラーの大型・モニター画面には、

清原美樹きよはらみき小川真央おがわまおの、

うつっていて、笑い声が聞こえる。


いまさっき、鏡を見て、あわてて、髪の寝癖ねぐせを、

水をかけてなおしたばかりの、

信也は、「よお、よくきてくれました」と、意識した明るい声で、

玄関のドアを、丁寧ていねいけた。


≪つづく≫ 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ