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雲は遠くて  作者: いっぺい
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11章 ミュージック・ファン・クラブ (3)

11章 ミュージック・ファン・クラブ (3)


どこか、いつも、内気うちき大胆だいたんとの、

アンバランスが目立つ、谷村は、

目を大きくして、片手で頭をかきながら、

ぺこっと頭もさげて、愛想あいそわらいをふりまいた。

背の高い、谷村のそんな仕草しぐさに、

女子の部員も、男子の部員も、くすくすと、あかるく笑った。


「そうですよね、谷村さん。おれらは、OB(卒業生)に、尊敬できる、

純さんや信也さんたちがいて、ラッキーですよね!」

と岡。

岡の、フォロー(補足)がうまいところは、みんなからかれた。


「岡ちゃん、おれたちは、なんで、じゅんさんや信也しんやさん、

翔太しょうたさん、あきらたちの、

クラッシュ・ビートのみんなを、尊敬して、信頼しているのかな?」

と幹事長の、3年生、矢野拓海やのたくみ


「あまり、考えたことないっす、たくさん」と岡昇おかのぼる


「クラッシュ・ビートって、みんな、ビートルズが好きで、ビートルズの

コピーばかり、熱心にしていたんだよ。大学1年から4年まで、ずーっと。

もう完璧かんぺきというくらいに、コピーしちゃってさ。

それをやってきたから、いまでは、プロとしてもやっていける実力の

バンドになっているんだよね。それって、コピーのおかげってもんで。

コピーって、大切だってことなんだよね。

サザンの桑田佳祐くわたけいすけさんだって、

すごく、コピーとかで、練習したんだろうね。

じゃあないと、オリジナル(独創的)な作品も作れないんだと思うよ。

クラシックの天才、モーツァルトも、ほかの人の音楽の、

真似まねつーか、コピーというか、

模倣もほうというか、得意とくいだったらしいんだ。

やっぱり、模倣や、コピーこそが、

オリジナル(独創的)への道って、ことなのかなあ。

天才は、そんな、芸術創造の秘密を教えてくれている気がするよ。

クラッシュ・ビートも、おれにそんなことを教えてくれたんだよ」


と、矢野拓海やのたくみが、言葉をとぎれとぎれにいうと、

「なるほど、さすが、拓ちゃんだ」と、副幹事長の

大学2年の谷村将也たにむらしょうやが、

「ほんと、すごいです、拓さん」と、大学1年、会計担当の

岡昇がいって、ふたりは、マジで感心した。


その話を、そばで聞きいている、

大学1年の森隼人もりはやとが、ちょっと早口に、

3人の会話に入り込むように、しゃべりだした。


「まったく、さすがですね、拓海たくみさんの考え方は。

おれなんかも、女の子に、モテたいから、

音楽やっているって感じですよ。岡も、そんなもんだろ。

拓海たくみさんのお話を聞いていると、

おれも、考えなおさないといけない思えてきます」


「男なんて、ふつう、そんなもんだよ、森ちゃん」と岡がいった。


「みんな、女の子にモテたいのが、本心だよ。森ちゃん」

と谷村も、自己卑下じこひげぎみに語る、森を、かばった。


「やっぱり、そんなものでしょうか?

でも、それ聞いて、安心しました。

それにしても、拓海たくみさんのお話はいつも深いですよね。

ぼくは、いつも勉強になりますよ。

さすが、僕らのサークルの幹事長ですよ。

理工学部の先輩としても、いつも尊敬しています」と、森隼人もりはやと


「森ちゃんは、優秀だから、ぼくが、いろいろと、刺激を受けるくらいだよ」

矢野拓海やのたくみ


「拓さんに、めていただけたようで、うれしいです。

たくさん、女の子とのつきあいって、むずかしいですよね。

ぼくには、どんなふうに、つきあったらいいのか、いまもわからないです。

男は女とつきあうことで、成長するとか、いいますけど、

たしかに、女の子には苦労しますよね、だから成長できるのかも」

といって、森隼人もりはやとは、

矢野拓海やのたくみたちに、れるようにわらった。


≪つづく≫ 


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