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雲は遠くて  作者: いっぺい
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10章 信也の新(あら)たな恋人 (3)

10章 信也のあらたな恋人 (3) 


詩織ちゃん、色っぽいな、長い髪がよくあう、

と、詩織の、オーラの出ているような雰囲気に、

信也は思った。

岡は、赤系のチェックのシャツに、ジーンズで、

小中学生のころからの、男の定番って感じ。

同じ、19歳なのに、岡が、おさなく見える。

岡の、どこか、とぼけた、人のよさそうな、わらい顔。

詩織の、男心をそそる、微笑ほほえみ。


そんな、ふたりの姿すがたに、

川口信也は、不思議なくらい、

何かが吹っ切れたように、元気がわいてきた。


「はい、ホットアップルパイ」と川口がいう。

「あ、どうも」とか「ありがとう」と、岡と詩織はいう。

それから、すぐに、川口たちは、マックを出る。


フレンチ・カフェ・レストランに向かった。


梅雨つゆ入りしたばかりで、くもり空だったが、

午後は、上空がれわたった。


「川口さんって、どうして、あんなに、歌が、

上手じょうずなんですか?」


川口信也と寄り添って歩く、詩織が、

もうすでに、恋人のように話しかける。


「おれなんか、まだまだ、うまくないけど。

ありがとう、詩織ちゃん」


「わたし、こないだのクラッシュ・ビートの

ライブを聴いていて、特に、川口さんの

ヴォーカルに感動しちゃったんです。

気持ちよさそうに、高い音域まで、

歌いこなしちゃっていましたよね、すごいです」


「子供のころから・・・、小学3年のころかな、

歌が好きで、よく歌をうたっていたんですよ。

子どもなりにも、真剣に」


そういって、わらって、川口は、詩織をみた。


「親に、ギターを買ってもらってからは、

歌よりも、ギターに熱中してたかな。ハハハ」


「そうそう、川口さんは、ギターも、ヴォーカルも、

ちょうウマ!先輩として、尊敬しちゃいますよ」


信也と詩織のうしろを歩く、岡が、そういった。


「岡ちゃん、きょうは、おれたち、3人の、誕生と、

これから先の人生の、お祝いをしよう。

それと、おれたちの、この、運命的な出会いを、

お祝いしようよ。

きょうは、おれに、まかせなさいって!ははは」


そういって、信也がわらうと、詩織も岡も、明るくわらった。


3人は、モリカワのフレンチ・カフェ・レストラン・下北沢店に入った。


南フランスを思わせる、あわいベージュ色の外観の、

青空によくえる、オレンジのかわらの一軒家だった。


店内は、あたたかみのある木材もくざい使つかわれて、

フランスのカフェにいるのような感じがする。


「えーと、大沢詩織さん、お誕生日おめでとうございます。

詩織さんの、19歳のお誕生日を、お祝いして、

ささやかではありますが、乾杯をいたしたいと思います。

かんぱーい!」


3人は、赤いクッションの椅子いすにすわったまま乾杯をした。


「このように、すばらしいパーティーを開いていただき、

ありがとうございます」


大沢詩織が、ひとみうるませて、ちょこっと、頭をげた。


「詩織ちゃんのお祝いをするなんて、男として、光栄ですよ」


≪つづく≫ 


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