表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雲は遠くて  作者: いっぺい
.
238/292

139章 ロックンロールはリアルなラブ&ピース

139章 ロックンロールはリアルなラブ&ピース


5月5日の子どもの日。青空のおだやかな南風で、気温も24度ほど。


 午後2時から、信也たちのクラッシュビートのライヴが、下北沢駅西口から歩いて2分の、

ライブ・レストラン・ビートで、開催かいさいされた。

ゲストには、G ‐ ガールズ(グレイス・ガールズ)も出演して、

1階フロア、2階フロア、280席の満員の会場は、最高に盛り上がった。


 午後5時、ライブが終わって、打ち上げの飲み会が、

≪カフェ・ゆず≫で、店は貸し切りで、始まっている。

≪カフェ・ゆず≫は、ライブ・レストラン・ビートと同じ、世田谷区北沢2丁目にあった。

一軒家ダイニングで、16席のカウンター、4人用の四角いテーブルが6つ、

キャパシティーは40名。

ミニライブもできるステージもあって、YAMAHAのアップライトピアノが黒く光ひかる。

店の前には6台分の駐車場がある。


≪カフェ・ゆず≫の女性のオーナーは、3月14日に25歳になった高田充希みつき

人気の女優で歌手でもある、高畑充希たかはたみつきに名前も容姿ようしも似ていると、

下北沢では評判だ。


「しんちゃんの新曲の、『ロックンロールはリアルなラブ&ピース』は最高だよね!」


 生ビールで満面の笑みでいい気分の佐野幸夫ゆきおが、

となりの席の川口信也にそう言った。

佐野幸夫は、ライブ・レストラン・ビートの店長で、いまも俳優になる夢も胸に秘めている。


「うん、しんちゃん、あの曲、最高のロックンロールですよね!私も大好きです!」


 信也にそう言って微笑む、佐野幸夫の隣に座る真野美果まのみかは、

1988年10月10日生れの29歳。佐野と美果の交際も6年になる。


「ありがとうございます。美果ちゃん、幸夫ちゃん。あの曲は、おれも気に入っているです。

映画の『クラッシュビート』のサントラ(挿入歌)を作ることになって、

おれも全力で作ったんですよ。

そうだ、佐野さんと美果ちゃんがそう言ってくれるんで、すごくうれしいから、

あの歌、弾き語りでやっちゃいますよ。聴いてください!あっははは」


 生ビールで上機嫌じょうきげんの信也はそう言って、ステージに行くと、

ギターを取って、椅子にすわり、マイクに向かった。


「ええと、みなさん、きょうのライヴは、ホント、最高だったと思います。

いまさっき、佐野さんと美果ちゃんが・・・、

新曲の『ロックンロールはリアルなラブ&ピース』がいいって、褒めてくれたんですよ。

あっははは。

そのお礼ってわけでもないですけど、ここで弾き語りで、あの曲歌っちゃいます。

映画とマンガの、バーチャルの『クラッシュビート』は、

まるでビートルズのように、最高のヒット曲、ロックンロールで、

世界制覇していっちゃうわけですけど、

おれたち、リアルで現実のクラッシュビートも、

そんなバーチャルな彼らに負けちゃいられないな!と思って、

おれはこの歌作りました。あっははは。

では、『ロックンロールはリアルなラブ&ピース』を聴いてください!」


 店内に、拍手と歓声が上がった。

 クラッシュビートやG ‐ ガールズのメンバーや、

マンガと映画の『クラッシュビート』の原作者の、マンガ家の青木心菜ここなや、

親友でアシスタントの水沢由紀たちも来ていた。

以前はクラッシュビートのキーボードをしていた落合裕子も来ている。


 信也は笑顔でみんなを見ると、印象的なリフで始まる、

ややテンポの速い8ビートのロックンロールを、シャウトも決めて歌った。


ーーー


ロックンロールはリアルなラブ&ピース / 作詞・作曲 川口信也


奇想天外な 夢を見たんだ 自分が死んだらしくって

友だちたちが 集まって 葬式を上げているんだ

「おれの葬式しているらしいけど おれ まだ 死んじゃいないじゃん!」

そう聞いたけど おれを見て 友だちは だまって 笑うだけなのさ


人生は 作品のようなもので 人は 芸術家のようなものだから 

空想家といわれても 人生は 愛のある 幸福なものにしたい 

どんな困難も 乗り越えられるのが アバンギャルド ならば

それが ロックンロール!かっこいい ロックンロール


I had a dream that I am dead

おれは 自分が死んでいる 夢を見たんだ

Rock'n Roll is a real love & piece

ロックンロールは リアルなラブ&ピース


ビートルズの ジョン・レノンは 言っている

「ぼくには ロックンロールだけが リアルだった」

「15歳のとき ロックだけが ぼくを とらえたんだ」

ロックンロールは 希望や喜び勇気も くれる


「空想家と思うかもしれないけど 想像しなければ 

この世界に 愛も 平和も 幸福も 実現もしないよ

君も そんな想像のできる 仲間になろうよ」 と

ジョン・レノンは 『イマジン(Imagine)』で 語っている


I had a dream that I am dead

おれは 自分が死んでいる 夢を見たんだ

Rock'n Roll is a real love & piece

ロックンロールは リアルなラブ&ピース


☆参考文献☆

ジョン・レノン/ラブ・ピース&ロックンロール   エイト社

ジョン・レノン詩集『イマジン』   平田良子・訳  シンコーミュージック


≪つづく≫ --- 139章 おわり ---


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ