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雲は遠くて  作者: いっぺい
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84章 利奈と誠二たち、バンドを結成する

84章 利奈と誠二たち、バンドを結成する


 6月14日の日曜の午後の2時ころ。明けがたまで小雨こさめがぱらついた、

晴れ間もちょっとだけという、曇り空の1日である。


 川口信也のマンションは、下北沢駅からは歩いて8分、池の上駅からは5分である。


 利奈が、代沢だいざわ公園のそばにある、そのマンションに引っ越してきたのは、

今年(2015年)の3月6日の金曜日であった。


 その代沢公園は、利奈も大好きである。利奈のやって来たこの春には、桜も咲いた。

花壇は、地域の人たちによって、四季折々の花々が楽しめるように、

苗などの植え付けや、除草などの管理がこまめにされている。


・・・わたしも、しんちゃんも、美結姉みゆねえも、草や木や田んぼとかがいっぱいの、

自然の中で育ってきたから、東京で暮らすと言っても、このへんがちょうどいいのかもしれない。

この公園はすてきだし、河も近いし、山も近いし、緑は多くて、空気もきれいなほうだし。・・・


 公園のベンチに座って、利奈は、そんなことを、ぼんやりと考えていたら、

同じ早瀬田大学の1年で、同じ音楽サークルの、ミュージック・ファン・クラブで知り合った、

沢田誠二がやって来た。


「やあ、利奈ちゃん、元気?きょうは、雨じゃなくってよかったよ」


 誠二は、いつものさわやかな笑顔でそういた。


「わたしはいつも元気よ。せいちゃんも元気そうね。ほんと、雨じゃなくてよかったわ!」


 そういって、利奈も明るく微笑んだ。


「この公園に、おれ来たの、初めてだけど、花もきれいで、すてきな公園だよね!」


「すてきでしょう!わたしのお気に入りなんだ!うふふ」


 誠二は、利奈の横にすわった。


 利奈と誠二は、好きなミュージシャンも、大原 櫻子おおはらさくらこや、

バックナンバー(back number)とかで、気持ちがぴったりと合って、意気投合して、

いっしょに、バンドでも結成して、楽しくやりたいね!ということになったのだった。


 誠二は、ギターもまあまあで、ヴォーカルもうまかった。利奈のヴォーカルを誠二は褒めた。

バンドやるために、ドラムスとベースを、二人は探しているところであった。


 10分間ほど、二人が世間話をしていると、誠二の、ガラケー(従来型携帯電話)が鳴る。


「はい、誠二ですけどぉ。・・・そおっすかぁ。・・・だいじょうぶっすよ。あっはは。

おれも、利奈ちゃんも、初心者って感じですから。あっはっは。

いっしょに、楽しくバンドやってゆきましょうよ!

そうですよ!大学生活に、最高の思い出を作るなら、バンドしかないですよ!あっはは。

じゃぁ、わかりました!こちらこそ、よろしくですー!じゃあ、またぁ!」


 そんなことを話して、誠二は、ガラケーを切った。


「利奈ちゃん、よかったですよ!浦和くんが、ドラム、吉田くんがベースで、

うちらのバンドのメンバーになってくれるって、言ってくれましたよ!あっはは」


「ほんと!よかったわ!うれしいわ!最高!」


 そういって、利奈も満面の笑みで、バンドのメンバーが揃ったことに、歓んだ。


≪つづく≫--- 84章おわり ---


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