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雲は遠くて  作者: いっぺい
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78章 岡と利奈、テイラー・スウィフトを語る

78章 岡と利奈、テイラー・スウィフトを語る


 4月10日、金曜日の午後の3時を過ぎたころ。曇り空であった。


東京都新宿区の戸山にある、早瀬田わせだ大学の戸山キャンパスの、

学生会館・西棟にしとうの2階の大ラウンジには、ミュージック・ファン・クラブ(MFC)の部員が集まっている。


 大ラウンジの大きな1枚ガラスからは、新緑の樹木や学生が行きかうキャンパス(校庭)が見える。


 ソフトドリンクを飲みながら、川口利奈と岡昇が、テーブルで雑談している。


「わたしの好きなミュージシャンですかぁ。女性ではやっぱり、テイラー・スウィフトかしら?

フジテレビで、テラスハウスやっていたじゃないですかぁ」


「あの番組は、ぼくも大好きで見てましたよ。俳優志望の菅谷哲也さんが、

なんとなく、ぼくに似てるかなって思ったりして。あっはは」


「あ、そういえば、てっちゃんと、岡さんって、どこかにてますよ。

性格のいいところとか、あっはは。てっちゃんと、同じ年くらいなんですか?」


「調べたんですけど、てっちゃんは、今年で22歳、ぼくは21歳で、ぼくのほうが、

1歳くらい年下なんですよ。あっはは」


「そうなんですか。てっちゃんって、テラスハウスのいやしキャラだったじゃないですか、

わたし、岡さんと話ししていても、癒される気がします。やっぱり、てっちゃんと、どこか似てますよ。

うっふふ」


「そうですか。てっちゃんも、おれも、料理を作るのが好きだったりして、似ているんですよ。あっはは」


 そういって、岡は、わらいながら頭をかく。


「岡さんも、てっちゃんみたいに、きっと、家庭的なんでしょうね。きっと、。いいお父さんになれますよ」


「あっはは。ありがとう、利奈ちゃん」といって、また、岡は、洗ったばかりのようなふさふさの髪をかいた。


「テラスハウスの主題歌って、テイラー・スウィフトの大ヒット曲だし、名曲ですよね、岡さん」


「そうですよね。でも、なんていう歌でしたっけ?」


「やだあ、岡さん。あれは、We Are Never Ever Getting Back Together、

私たちは絶対に絶対にヨリを戻したりしない、ですよ。長いタイトルですよね」


「長いし、覚えにくいし、よく考えれば、こわい内容のタイトルですよね。あっはは」


「なんでも、テイラーちゃんが、大失恋のときに、できた歌らしいです。彼女はスゴイですよね。

失恋でも何でも、歌にできちゃうんですから」


「まったくだよね。自分の恋愛体験から、人に元気や勇気や癒しとなる歌を作れるんだから、

天才的ですよね。ぼくたちも、見習うべきなところ、たくさんありますよね。利奈ちゃん」


 テイラー・スウィフトは、2006年、15歳で、第1作のアルバムの

『テイラー・スウィフト』を発表、全米カントリー・チャートで1位となる。

2010年には、ビヨンセやレディー・ガガという、スーパースターを退しりぞけ、

史上最年少、20歳で第52回グラミー賞を受賞している。


「ちょっと前ですけど、SONGSに、テイラーさんが出ていたんですよ。岡さんは、見ましたか?」


「あれは、ぼくも見ました。ちゃんと録画してありますよ」


「わたしも、録画しました。テイラーさんの素顔がわかる貴重な番組だったですよね」


「うん、We Are Never・・・なんとかも、歌ってくれたしね」


「テイラーさんは、毎日どんな時でも、曲のインスピレーションが生まれるって言ってましたよね。

自分でも予想がつかないくらいに、真夜中にでも、アイデアが浮かぶことも多いとか、言ってましたよね。

やっぱり、才能のある人は、違うんだなぁって、凡人のわたしは、羨ましいと思っちゃいました。あっはは」


「才能のある人って、きっと、24時間、好きなことばかり考えてられるんですよ。

才能のある人は、人一倍努力の人でもあるってことですよね。

テイラーちゃんは、メロディーを忘れないように、携帯に録音しておくっていってましたよね」


「そうですよね、岡さん。確かに、好きなことに努力できる人が、才能のある人なのかもしれませよね。

仲里依紗なかりいささんが、テイラーさんに質問していましたよね。

『テイラーさんとって、歌ってなんなんですか?』って。テイラーさんのこたえた言葉が、

すばらしくって、わたし、心に刻んで、よく覚えているんです」


「あ、確か、いいこと言っていたよね。なんて言ってたっけ。利奈ちゃん」


「テイラーさん、こんなことを言っていたんですよ。

歌って、どんな問題も解決してくれるものなのって。それが気休めだとしてもねって、

付け加えてましたけど。うふふ、かわいい人ですよね。

あと、彼女は、歌は自分の人生のサウンド・トラックねって言ってましたよね。

それは、どういう意味かというと、街を歩くときとか、

ヘッドフォンから音楽が流れてきたら、まわりの光景とかが、

すべて違って見えてくるじゃないですか、そんなことを意味して、

テイラーさんは、歌は自分の人生のサウンド・トラックって言っているんですよね。

わたし、それを聞いて、テイラーさんって、考え方がしっかりしているんだなぁって、

つくづく感心したり、尊敬しちゃいました。

あと、テイラーさんは、音楽のおかげで、思い出もよみがえってくるとか、

世界で1番大切なものだわって、言っていましたよね。

歌に関して、まるで、わたしの言いたいことをすべて、代弁してくれているようで、

テイラーさんは、いまのわたしの、もっとも、尊敬しているミュージシャンのひとりです」


「ぼくも、テイラーちゃんは、尊敬するし、あこがれちゃいますよ。あっはは。

あの、SONGSでは、彼女は、農園で育ったから、自由に走り回って、

想像の翼を広げることができたんだって、言っていたじゃないですか。

それって、すごく大事なことなんだろうなって、ぼくは感じたんですよ。

つまり、人間って、自然に接しながら、のびのびと育って、生きることから、

想像力や、創造性も、身についたり、育ったりするんだろうなって、あらためて感じたんです。

自然と、どのように、交感したりし、つきあって生きるかって、とても大切なんだと思ったんです」


「そのとおりだと思います、岡さん。、彼女のご両親は、アメリカのペンシルバニア州に、

住んでいらっしゃって、林業を営んでいて、クリスマス・ツリー用の数千本もの、

モミの木の農園をしているそうですよね。

そんな自然に恵まれた環境で、彼女は育ったということですものね」


「そうだよね。大自然の環境の中から、テイラーちゃんは、人間味豊かに、

感性も豊かに、育っていったってことだよね。自然って、大事だよね、利奈ちゃん。あっはは」


 いつのまにか、利奈と岡は、信頼しあえる、友だちになっていた。


≪つづく≫ --- 78章 おわり ---


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