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雲は遠くて  作者: いっぺい
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47章 目標は、ラルク・アン・シエル!?

47章 目標は、ラルク・アン・シエル!?


 7月27日。空も晴れた、正午。気温も35度に達している。


「きょうはスゴイ暑いよね!とも(友)ちゃん」


「こんなに暑ければ、気をつけないと熱中症にもなるよ」


 木村結愛ゆあい水谷友巳ともみが、下北沢駅南口を出ると

南口商店街へ向かっている。


 木村結愛は、15歳の高校1年、水谷友巳は20はたちになったばかり。


 高校を卒業したあと、大学には行かずに、ロック・ミュージシャンの道を究めようと、

ヴォーカルやギターの練習をして、様々なバンドのセッションにも参加したりしながら、

ミスター・ドーナッツやモス・バーガーとかのアルバイトで、生活費を稼いでいる、

水谷友巳である。


 そのミスター・ドーナッツの近くにある中学や高校に通っている木村結愛が、よく放課後に、

店に行くと、水谷友巳が笑顔で売り子をしていた。


 そんなわけで、笑顔の似合う二人は、自然な感じで、親しくなったのである。

「今度、どこかに遊びに行きませんか?」と最初に声をかけたのは、水谷友巳であった。


 木村結愛が、ロックバンドのラルク・アン・シエル(L'Arc~en~Ciel)が大好きで、

この2014年3月22日の土曜日には、新宿区霞ヶ丘の国立競技場で行われた、

ライブ・コンサートには、水谷友巳と木村結愛は、仲よく観に行くことができた。

21日、22日、2日間合わせて、16万人分のチケットは、即日完売であった。


 尾崎豊に心酔してロックミュージシャンにあこがれた水谷友巳だったが、

木村結愛と出会ってからは、ラルク・アン・シエルを大好きになっていた。


 下北沢南口商店街の中ほどの北沢ビル1階にあるカフェ・バー・アップルに、

ふたりは入る。アップルパイやチーズケーキのおいしい、モリカワの経営する店である。


 店内には、川口信也、信也の彼女の大沢詩織、いつも仲睦なかむつまじいカップルの、

清原美樹と松下陽斗はると、森川純と菊山香織、森川良りょう白石愛美まなみ

の8人が、低めのゆったりしたソファーのテーブルでくつろいでいる。


「よく来てくれました。実は、きょうは、うちの会社、モリカワ・ミュージックの

森川良さんが、来てるんだ。とも(友)ちんの才能に期待してくれていて、

メジャー・デヴューに向けて、総力を挙げて取り組もうと言ってくれているんですよ」


 信也の隣のソファにすわる、水谷友巳ともみ木村結愛ゆあいに、

信也は微笑ほほえみながらそういった。


「え、本当ですか。うれしいです」と水谷友巳は白い歯を見せて微笑む。


「やったじゃん。とも(友)ちん。ラルク・アン・シエルみたいな、ビッグなロックバンド

目指して、がんばろうね!」


 無邪気に、木村結愛がそういうと、みんなは明るくわらった。


「しかし、ともちんの目標とするミュージシャンが、尾崎豊からラルク・アン・シエルに

軌道修正した感じだね。これも結愛ゆあいちゃんの影響かな?

でもね、いい音楽の影響を受けながら成長するのが、アーチストってもんだからね。

とてもいい傾向だと、おれは思うよ」と信也はいった。


「はじめまして。モリカワ・ミュージックの課長の森川良です。

水谷友巳さんのオリジナル曲とか、デモテープを聴かせていただいて、

モリカワ・ミュージックとしては、水谷さんのメジャー・デヴューの

プロジェクト(企画)を立ち上げたいと考えているんです。

これから、水谷さんと気の合うバンドメンバーも決めるわけですけどね。

どうか、よろしくお願いいたします」


 水谷友巳のテーブルの向かい側にいる森川良はそういった。


「こちらこそ、よろしくお願いします。バンドの結成はぼくも楽しみです。

気の合うヤツなら、友だちにもいるんですけどね。

ぼくは、人生をロック・ミュージシャンに賭けてみたいんです。

それには、努力と才能と運が必要なんでしょうけど。

でも、運も、川口信也さんに出会えて、ひらけてきた気がしています」


 そういう水谷友巳の言葉に、みんなは、わらった。


「そうですか。それでは、おたがいに、ベストをくしてゆきましょう!

きょうは、友巳さんも、結愛さんも、楽しんでください。きょう、お集まりのみなさんは、

モリカワ・ミュージックで、メジャー・デヴューして、成功している方々ばかりですので、

音楽談義とかで、お話しも楽しく弾むと思います」


 見るからに、ソフトな紳士、思いやりのある印象の森川良が、そういって微笑む。


 ・・・ともちんの、デヴューの話はうまく進展して、良かったけれど、おれは、

先日、エタナールの副社長の竜さんに、ともちんを、よろしくお願いしますと、

紹介しているしなぁ・・・、しょうがないか、今回は、竜さんにはあやまっておくしか、方法はなさそうだ・・・


 みんなと、歓談しながらも、信也はそんなことを、ふと思っていた。


≪つづく≫ --- 47章 おわり ---


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