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雲は遠くて  作者: いっぺい
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36章  信也と竜太郎たち、バー(bar)で飲む (3)

36章  信也と竜太郎たち、バー(bar)で飲む (3)


「まあさ、エタナールの失敗もあってか、モリカワさんは、

何倍もの大企業になったんだし。めでたし、めでたしってことで、

また、がんばってやっていきましょう!あっはっは」


 そういって笑って、竜太郎は、なぜか上機嫌である。たまたま

った鉄砲玉がはずれたくらいに考えているので、また

新たなM&Aで会社を大きくしていくことを考えているのであろう。


 モリカワとフォレストの友好的なM&Aの実現の、

1番の大きなきっかけは、竜太郎がいうように、

東証1部上場のエターナルがその豊富な資金力によって、

買収金額を2000億円、提示して、フォレストに

敵対的買収を仕掛けてきたことであった。


 新井竜太郎たちエタナールは、フォレストの役員たちの

同意や協力を得ることなく、支配権の異動をはか

企業買収を計画したのであった。


 しかし、フォレスト(Forest)の社長、49歳、森昭夫や妻の44歳、裕子、

長男、19歳の隼人はやと、隼人の姉、21歳の留美るみたち

家族は、これまできずきあげてきた会社が消滅してしまうような

エタナールからの一方的なM&Aを、初めからまったく拒絶した。


 そんな状況の中、日ごろから親交の厚いモリカワの社長、59歳、

森川誠と、フォレスト(Forest)の社長、森昭夫は、新宿にある

料亭の高瀬たかせで、ふぐ料理を食べながら歓談をする。


 その料亭で、モリカワとフォレストの友好的な合併が実現した

のであった。フォレストの社名もそのままで、経営権や支配権や

営業方針なども従来のままという、フォレストにとっては

極めて好条件の合併契約、友好的な対等合併であった。


「竜さんは、会社をどんどんの大きくして、グローバル企業にして、

その先の未来ではどうしようと思っているんですか?」


 酔っている信也は、竜太郎にそんなことを聞いてみた。


「信ちゃんなら、わかってもれえると思っていうけどさ。おれの考えは、

信ちゃんがやっているバンド活動にかける気持ちと同じようなものさ。

おれはバンドとかできないけど、プロデュース的な立場で、

芸能事務所を世界的に展開してさ、そんな芸術作品や芸術家たちの

活動を通じてさ、世界中の人に、愛や恋愛の大切さを広めたりしてさ、

そんなビジネスで、世界の平和や人々の意識改革に貢献したいなって、

思っているのさ。そんな青臭い話、世間の現実を知らないような

未熟な若者のいうような話は、ここだけの話だけどね。

人生なんて、長くないし、短い人生で、どこまでできるかって感じで、

やっているだけなんだよね、おれは」


 目をキラキラさせて、笑顔で竜太郎はそう話した。


「そうなんだ。竜さんって、すごいな、志が高くって。おれも

がんばらないとと思っちゃうよね。あっはは」


 信也は思わず、そういってわらいながら、竜太郎に、

天才性と狂気のような2つの相反するものを感じる。


「竜さんも信ちゃんもかっこいいわ。中身もルックスもすべてが!」


 そういうと麻由美は、長い睫毛まつげの可愛い目で、

竜太郎と信也を見つめる。


「麻由美ちゃんと詩織ちゃんも、美しいプロポーションしていて、

もう、こうして眺めているだけで、エッチな気分になってくるよな。

あっはは」


 そういって竜太郎は、陽気にわらう。


「竜さんたら、そんなこといって。じゃあ、今夜は、お酒も適量を

キープしてもらいましょうね。そのあとの、男女のオトナの時間を

優先してもらいましょうね!ねえ、詩織ちゃん」と麻由美はいう。


「そうですよね、麻由美さん」と詩織も、少し恥ずかしそうにそういう。


 4人が声を出してわらうと、バーテンダーやスタッフが、

ちらっと見てさわやかな笑みを浮かべた。


≪つづく≫ --- 36章 おわり ---


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