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雲は遠くて  作者: いっぺい
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28章 モリカワに、M&A(合併、買収)の危機!(2)

28章 モリカワに、M&A(合併、買収)の危機!(2)


わが社は、みなさんもよくご存じのように、

昨年からは、ブラック企業ではない、ホワイト企業という

イメージで、世間やマスコミの注目されています。

わが社の主体は、サービス業です。

そして、この業界は、1日の労働時間が、15、16時間

なんていうことが、現実には、とても多いんです。

業界全体が、ブラック企業化しているような現状なんです。


わたしは子供のころから、この下北沢の商店街で、

いまは天国ですが、働き者のおばあちゃんが、

小さな喫茶店を、ひとりでやっているのを見てましたから、

商売人は、起きてから寝るときまで、働きつづけるのが、

あたりまえにくらいに思っていたのですけどね。


しかし、15歳くらいになった時には、人間らしい生活って

いうものは、しっかりと休んで、遊んで、英気をやしなって、

それで、勉強や仕事をするもんだっていう、

信念に変わっていったんです。


わたしも、高校を卒業して、洋菓子の店に

修行しゅぎょうに行っていたころの3年くらいは、

毎日が15時間労働くらいをしてました。

そのあと、おばあちゃんの店を継いで、

そこを改装して、洋菓子と喫茶の店を始めて、

現在のモリカワにいたるんですけどね。


まあ、ですから、わたしにいわせれば、長時間労働を

してもらうということは、お金だけで解決できる問題

ではないのですよね。会社が、健康を害するような、

長時間労働を要求するようなことは、まるで、

牛から乳をしぼりとるように、必要労働時間以上に働かせ、

そこから発生する剰余じょうよ労働の生産物を、

無償むしょうで取得するようなもので、

労働搾取ろうどうさくしゅというべきものなんです。


資本家は、ちゃかっりと、労働者に払うべきものを、

ちゃんと、はらわないで、やっぱり、結果としては、

その対価を、全部、資本家がたくわえてしまう

ということなんですよね。

労働者に支払われたものが、

労働の対価といえるのかどうかの判断は、実際には、

なかなかむずかしいものがありますけどね。


早い話が、長時間労働をやめればいいんですよ。


わたしは、この胸が苦しくなって、つらくなるばかりなので、

わが社からは、長時間労働や、残業を、

全面的に廃止する方針でいます。


もちろん、みなさんにとっては、残業による収入には、

それなりの魅力があることもわかっていますから、

残業などしなくても、

残業代となるべき、そのあまったお金は、

ちゃんと、ボーナスで、お支払するのです。


昨年度は、経営方針どおり、ほぼ100%の、

有給休暇・消化率が達成できました。

今年も、有給休暇の完全消化の体制でまいります。


この、お給料がもらえる休みの、有給休暇もですね、

調査した24か国で最下位なんです、日本が。

なさけない、お話ですよね」


社長の、しょげた顔に、みんなはわらった。


横幅、2メートルの大型ディスプレイには、

世界の有給休暇・消化率のランキングがあらわれる。


ブラジル 100% フランス 100% ドイツ 97% 

スペイン 87% オランダ 84% オーストラリア 75%

インド 75% アメリカ 71% 日本 39%


2013年エクスペディア調べ。Expediaエクスペディアは、

世界24カ国でサイトを開設する世界最大の旅行予約サイト。


「わが社では、まだ、完全週休2日制ですが、

完全週休3日制を、目標にして、その達成に向かって

ゆきます。


この目標の達成には、このイラストにあるように、

各現場の業務量と、人手を、

常に把握はあくすること、そのための

各部門の責任者が、常に業務に関する情報を

共有することなどが、基本となるわけです。


≪つづく≫


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