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雲は遠くて  作者: いっぺい
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27章 モリカワの 新春 パーティー (1)

27章 モリカワの 新春 パーティー (1)


2014年1月5日の日曜日。

の光の少ない、曇り空。肌寒はだざむい。


株式会社 モリカワの、新春パーティーが、

下北沢駅、南口から、歩いて 約3分の、

ライブ・レストラン・ビートで、

正午の12時から 始まるところであった。


1階 フロアと、2階 フロアの、あわせて、280席は、

モリカワの社員や招待客で、満席まんせきだった。


清原美樹たち、グレイスガールズや、早瀬田大学の

音楽サークルのミュージック・ファン・クラブの学生も、

ほとんど 出席している。


学生たちのためにもと、この新春パーティーの会費は、

無料で、飲み放題、食べ放題であった。


モリカワっていう会社、みんな、いい人ばかりで、

わたしも、この会社に、就職させてもらっちゃおうかな。

きょうの、会場の、なごやかな雰囲気ふんいきの中で、

ふと、清原美樹は、そんなことを 空想する。


美樹たちの グレイスガールズ、クラッシュ・ビートのメンバー、

モリカワの社員でもある川口信也たち、 それに、

モリカワの社長の森川誠や、副社長の森川学、

会社の本部のメンバーは、

ステージからは 後方こうほうのテーブルに集まっている。


会社の社長ともなれば、ステージ寄りの、特等席にすわ

ものだろうが、ここの社長たちは、いつも、謙虚けんきょである。


モリカワという会社では、経営理念を、明文化めいぶんかして、

仕事上で 必ず 守るべき、

信念しんねん誓約(せいやく明記めいきしている。


そのひとつに、

「管理する思考ではなく、支援をする思考で、社員が安心して働ける

職場や、新たな顧客価値の創造のできる 経営を 目指そう!」

がある。


モリカワの 従業員たちは、相手に、自分の考えや行動を 批判される

こともなく、自分の意見や質問を、自由に発言はつげんできた。


モリカワの自由で平等な、階層や部門にとらわれないフラットな関係の、

社風や気風は、そんな経営理念によって、しっかりと 守られて、

今日こんいちの 飛躍的な発展の原動力となっている。


社長をはじめとする 経営トップたちは、そのように、顧客こきゃく

ニーズや、現場で働く 社員の待遇や安全を、第一 に 考えていた。


いまや、世間では、ブラック 企業といわれる会社の不祥事ふしょうじ

とは、正反対な、ホワイトな優良 企業と 評価される 会社であった。


「みなさま、あけまして、おめでとうございます!

それでは、これより、株式会社 モリカワが主催しゅさい

新春パーティー を とりおこないます!」


ライブ・レストラン・ビートの店長の、

身長179センチの佐野幸夫が、間口まぐち、約14メートルの

ステージに立って、そんな、司会の言葉をべると、

高さが 8メートルの、けのホールは、

歓声かんせいと、拍手はくしゅにつつまれた。


「進行役の店長の佐野幸夫でございます!

まあ、本日は、女性のみなさまが、お美しいといいますか、

かわいらしいといいますか、格別に、はなやかですよね。

ぼくも、つい、見とれてしまって、

進行役を忘れてしまいそうです。

そんな、女性に弱い、佐野ですが、よろしくお願いします!」 


会場は、大きな拍手と、わらいにつつまれた。


「本日は、おいしい料理とスイーツ、お飲み物は たっぷり

ご用意しました。そして、すばらしい ライヴ 演奏も、

たくさん、お楽しみいただきたいと思います。

それでは、森川社長から、新年の ご挨拶を いただきます!」


「みなさん、あけましておめでとうございます。森川誠まことです。

いま、佐野さんのお話にもあったように、

本日は女性のみなさんが、たくさん、ご参加くださっていて、

わたしも、新年から、たいへんうれしいしです。元気が出ます!」


わずかな白いものがじる、ひげのよく似合う、

森川誠の そんな 挨拶と、笑顔に、会場はく。

1954年生まれ、今年の8月5日で、60歳の、森川誠である。


≪つづく≫



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