第三章、待遇5
避雷針から..ファーストラブ オリジナル
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聡はガムを噛んでいた口の動きを止める。
真が、「って言うか...、『こんなに受けるとは、皆な思わなかった!』つーのが
本音だ!調子こいていたのは、おめーだけじゃねー、俺たち皆だぜ!。
浩二も俺も、最初はカバーがメインのバンドだった」。
聡、「あー、あの頃の方が楽しかったな...」。
真、「追われてなかったからな...」。
そして二人は無言のまま、思いにふけていた。
もう日が落ちて、公園を照らす灯りが薄っすらと点き始めた頃、
さりげなく真が財布から、一枚の写真を取り出しそれを聡に渡した。
聡は、それを何気に見ていた。
真、「中坊ん時の俺達だ」。
聡、「皆な若いな、中坊そのものだ」。
真、「ああ、楽器の前でカッコ付けているけど、その時は誰も出来る奴は居なかった。
その写真は、中二の終わり、丁度今ごろだったな」。
聡、「なぜお前俺を入れる事賛成したんだ?この時はリーダーが浩二か?」。
真、「最初から、リーダーは、俺がやらされていた」。
聡、「……….」。
真、「やっていたかったさギターとボーカル。でもな才能無い事に気づいた」。
聡、「何言ってんだよ」。
真、「いや、自分から止めたいと思った。それで浩二に
『俺、バンド止める』と、持ちかけた。浩二は、
『お前が居なかったら、ギター誰がやるんだ#!』と、切れてた。高校入ったばっかりの頃だ。
その時だ、『ルックスいい奴が居るよ!』、小百合がそう呟いたんだ」。
聡、「それから俺を見つけてか?」
真、「ああ、そうだ」
聡、「びっくりしたよあん時は、急に教室入ってきて、超!茶髪のどファンキーな女が、
『バンドのボーカルやって欲しい』って来て、周りに居た連れも、俺もひるんで、
『なんだこいつ?』って思ったら、ひたすら、
『お願い、お願いします』って、手合わせて頼み込むもんだから、
俺バンドなんてやった事ねーし。第一知らねー奴から..いきなりそんな事言われても..なぁ~」
その時、真、聡も笑った。
真、「俺が辞める事で浩二が、イライラしている最中、小百合が『ルックスいい奴居るよ』、
なんて言うもんだから、あいつ、ヤケクソで、『じゃー連れてこいよぉー#』って..。
小百合、結局仲間がバラバラになるのが寂しかったんだきっと、
焦ってんだろーな。でも解散を間逃れる為には、適切な判断だったと思う」。
聡、「小百合の頼み断ったら、しょげて教室出て行ったの思い出したよ」。
真、「俺達その頃カリスマって言葉が流行っていて、その言葉に酔いしれていた、
何も取り柄の無い三人組は何時も退屈だった。
街をふらつき、ライブ見たくても金が無い。
家でゲームやったり、ケータイで他の連れに電話して見たり。
でも気が付くと、何時も三人だけが集まっていた。
口だけは達者な奴らだったな。まさかそれが現実になるとは、思いもしなかった。
カリスマになれば幸せになれる。何時も決まって幸せの内容を、語っていた。
でもカリスマになった分、今度は、追われる立場に…。
メンバーの個人的意見と、プライドで困惑する。
解っていた、お前を入れたらこうなる事を」。
聡は黙って俯き、「すまん」と呟いた。
真、「そうじゃない!」。そう呟いて座りながら、聡の方に体を向けて真は語った。
真、「お前のせいじゃない!追い込まれていた皆な..。
これ以上の期待いや。これ以上三人で、メンバー組んでやっていても、
これ以上のバージョンアップは無理だった。
どう考えても…。浩二もそう考えていた!最終的にお前に、強く頼んだのは浩二だ!」。
聡、「そうだったな、浩二に乗せられた。
『お前の事を大勢の、熱い奴らが注目してくれるんだぜ!』
って。そん時俺も悪くなかった。歌う事は好きだった。
そんな体験もした事なかった。自分の事を、多くの同じ年代が指示してくれるなんて..
そんなにルックスの事、褒め契られたのも初めてだった」。
真、「それから小百合が、曲作るようになって。あいつ、あんな才能有るとは思いもしなかったぜ!」
聡、「お前も自分が作詞する才能、有るなんて思っていたか?」
真、「才能なのかどうなのか、よく解らねーただやらなきゃ終わっちまう、
そう思って今まで来た。いいか悪いかなんて、考えている余裕なんてなかった」。
その時真が何かを思い出し、クスクス笑った。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。