第十九章 初めての疑惑
避雷針から..ファーストラブ オリジナル
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九月に入り夏休みも終わり、二学期が始まった。
総合設計技術課程の教室で皆、夏休みボケで、ボーっとしていた。
教師の激が飛ぶ、「二学期中に、設計士三級を取れない者は、普通科、進学科に回すからな」。
だがここに居る生徒は、どっちでもいい様な顔をしていた。
教師を見つめていた聡の脳裏に、(俺も眠いなー)。
聡は手を口に添えて、“プっ”と、吹いた。
その時教師が聡を見た、聡は知らぬ顔して顔を反らした。
教師は浮かぬ顔して、ぶつぶつ何かを呟いていた。
脳裏(何がおかしいんだよ、バカ野郎#!俺もやりたかねーよ、まったく#)。
隣に居た加藤、「お前のそのデカイ巨漢見ていると、だるくなるんだよ#!余計に..」。
小さな声で呟いた。
加藤の周りに居た生徒達が、“あはははは”大声で笑った。
その教師はその笑った生徒達を、顔中汗ばみながら睨んでいた。
昼休みに入り生徒達は、夏休み中の会話で花が咲いていた。
聡も小百合、真、斉藤、恵美、他の生徒達と、会話が弾むその最中だった。
礼のごとく来てしまったのである。甲高い声と共に..。
今度は人数が三倍くらいに、膨れ上がっていた。
教室に雪崩れ込んで来て一斉に、「オリコン8位にランクインおめでとー!」。
聡、脂汗が出てきた。この教室に居た生徒達もその光景に固まった。
聡、「いや..あの..期待しないでくれよ..多分これで終わると思うからさ..」。
下級生の一人が、「聡君変わった..」。ポツリと呟くと、大勢ファン達も聡をボーっと見ていた。
小百合いきなり「クラウ元ボーカル風間聡、ガンガン行くから!
これからも気合いれてっから#よろしくー!」。そう言って拳を翳した。
そして小百合、「って、言わなきゃ!」。
この教室に居た皆が、大笑いをした。
聡はしょ気た。
恵美、聡の横に来て聡に腕を組んで色っぽく、「みんな応援してねぇ~」。
更に、笑われしまった。
真、「なんだよ聡ぃ~! 今度は、渋谷で八位じゃないぜ!日本で8位なんだからよー。
聞いてっかー#」。
斉藤、拳をかざし「これからは、世界を目指す風間聡しです。よろしく」。
皆な手を叩いて笑った。
聡、深く頭を下げ、「調子付いていましたぁ~」。
するとファンの一人が、「聡君、大人になったぁ」。
周りにいたファンも、うんうんと頷いたのであった。
真、小百合、恵美、斉藤がそんな、ファン達を見て微笑んでいたので有った。
仲間達はジャンルこそ違え、クラウの時と同じ、
ミーティングと歌詞の編集、曲付けなどに追われる毎日が続いていた。
ただ違う事は、お互いの意見を尊重している事だった。
仲間達は、お互いの意見を交換し合い、落ち着きながら慎重にこなして行く。
クラウの時より、事がスムーズに運んでいた。
一つの案を、書類にまとめ、毎日のように個人の意見を皆が聞いて、
尊重し合いそれを揉める事なく重んじて、制作活動に力を注いでいた。アルバム作りに備えて。
新曲も、オリコンチャートに入って来た。
学校が終わると、この二人はテレビ、ラジオ出演と忙しい。
香菜も学校では一目置かれるようになっていた。
周りからは、そう..、少し前のはやり言葉で、カリスマ的存在になっていたのであった。
香菜は自分の通っている高校でも昼休み、放課後になると、サインを求める生徒達、
聡の話を聞きに来る女子生徒達や、音楽室からギターを持って来て、弾かせる生徒、
引かせて歌う生徒達と、すでにアイドルであった。
だが良い事ばかりではなかった。
多数ではないが、顔立ちが良い聡に対し、香菜にやっかみを持つ女子生徒も現れていた。
聡の女性の噂を立てたり、香菜の言語の指摘もされていた。
そんな中、少数では遭ったが、授業の合間に取材に来る記者も居た。
学校側も元々アイドルではないので、どう対処して良いか少し困っていた。
そして放課後…。
香菜は放課後、学校でのアイドル勤めを終えて、下駄箱で靴を履き替えていた。
数人の下級生の女子生徒が、香菜所有の下駄箱の裏で、聡の噂を交わしていた。
女子生徒、「風間君、前に付き合っていた彼女の他に、告っていた、タメの女が居たんだって」。
「へー、同じ学校の?」。
「そー、それでー、その人と川坂さん、二股掛けているじゃないかって、
中学の時の友達で、城南通っている子が言ってた」。
それを耳にした香菜は、その場から駆け出して行った。
噂をしていた下級生達が、呆然とその姿を見つめていたのであった。
聡達の放課後..
もう時は、五時を回っていた。
聡は授業が終わり、香菜にメールを入れたが、返事がまだ無かった。
聡、独り言で、「あれ..、今日は授業何時もより早く終わると言っていたのに..」。
廊下を歩きながら携帯を見て、呟いていた。
斉藤と恵美が、「お先」と、継げて帰って行った。
その時恵美が、聡を見つめた。
恵美、「なんか遭った?」と、尋ねると聡は、「いや別に、香菜からメール待っているのだけどさ」。
恵美がその時何となく、「あ..あの..あんまり気にする事じゃないけど、
香菜ちゃん感受性強いから、女性関係に気をつけて」。
そう告げて、斉藤と去って行った。
聡は、そう言われると、少し考えたが、今、疑われるような女性関係は無く、
首をかしげて、階段を下りていった。
学校を出て何気なく歩いていた、喉が渇き、音楽雑誌も欲しくなり、
学校近くのコンビニへ立ち寄る。店内に入ると、音楽雑誌を読み始めた。
すると、大きく自分達の記事が取り上げられていた。
その雑誌を持ち、店内の奥に行き、ドリンクフリーザーの扉を開けて、
三百ccのペットボトルを掴んで、レジに向かうと同じ制服の女子生徒がレジに並んでいた。
その女子生徒が、何気なく後ろを振り向いた。
それは二年の時の同じクラスの、西島玲子であった。
聡は、「ああ、久しぶり」。と、挨拶をすると玲子も、
「本当、同じ学級だけど、科が違うと会わないよねぇ~」。
聡、「ああ、そう言われれば」。
二人はコンビニを出ると、話しながら歩いていた。
玲子、「凄いね、今有名だよ、」。
聡、「いや..今だけだよ、長く続けるつもりはないんだ」。
玲子、「あの時ごめんね」。
聡、「何が?」。
玲子、「手紙」。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




