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第十九章 初めての疑惑

避雷針から..ファーストラブ オリジナル

http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1498311.html


九月に入り夏休みも終わり、二学期が始まった。


総合設計技術課程の教室で皆、夏休みボケで、ボーっとしていた。


教師の激が飛ぶ、「二学期中に、設計士三級を取れない者は、普通科、進学科に回すからな」。


だがここに居る生徒は、どっちでもいい様な顔をしていた。

 

教師を見つめていた聡の脳裏に、(俺も眠いなー)。

 

聡は手を口に添えて、“プっ”と、吹いた。

 

その時教師が聡を見た、聡は知らぬ顔して顔を反らした。

 

教師は浮かぬ顔して、ぶつぶつ何かを呟いていた。


脳裏(何がおかしいんだよ、バカ野郎#!俺もやりたかねーよ、まったく#)。

 

隣に居た加藤、「お前のそのデカイ巨漢見ていると、だるくなるんだよ#!余計に..」。


小さな声で呟いた。


加藤の周りに居た生徒達が、“あはははは”大声で笑った。


その教師はその笑った生徒達を、顔中汗ばみながら睨んでいた。



昼休みに入り生徒達は、夏休み中の会話で花が咲いていた。


聡も小百合、真、斉藤、恵美、他の生徒達と、会話が弾むその最中だった。


礼のごとく来てしまったのである。甲高い声と共に..。


今度は人数が三倍くらいに、膨れ上がっていた。


教室に雪崩れ込んで来て一斉に、「オリコン8位にランクインおめでとー!」。


聡、脂汗が出てきた。この教室に居た生徒達もその光景に固まった。


聡、「いや..あの..期待しないでくれよ..多分これで終わると思うからさ..」。


下級生の一人が、「聡君変わった..」。ポツリと呟くと、大勢ファン達も聡をボーっと見ていた。


小百合いきなり「クラウ元ボーカル風間聡、ガンガン行くから!


これからも気合いれてっから#よろしくー!」。そう言って拳を翳した。


そして小百合、「って、言わなきゃ!」。


この教室に居た皆が、大笑いをした。


聡はしょ気た。


恵美、聡の横に来て聡に腕を組んで色っぽく、「みんな応援してねぇ~」。


更に、笑われしまった。


真、「なんだよ聡ぃ~! 今度は、渋谷で八位じゃないぜ!日本で8位なんだからよー。

聞いてっかー#」。


斉藤、拳をかざし「これからは、世界を目指す風間聡しです。よろしく」。


皆な手を叩いて笑った。


聡、深く頭を下げ、「調子付いていましたぁ~」。


するとファンの一人が、「聡君、大人になったぁ」。


周りにいたファンも、うんうんと頷いたのであった。


真、小百合、恵美、斉藤がそんな、ファン達を見て微笑んでいたので有った。


仲間達はジャンルこそ違え、クラウの時と同じ、


ミーティングと歌詞の編集、曲付けなどに追われる毎日が続いていた。


ただ違う事は、お互いの意見を尊重している事だった。


仲間達は、お互いの意見を交換し合い、落ち着きながら慎重にこなして行く。


クラウの時より、事がスムーズに運んでいた。


一つの案を、書類にまとめ、毎日のように個人の意見を皆が聞いて、


尊重し合いそれを揉める事なく重んじて、制作活動に力を注いでいた。アルバム作りに備えて。


新曲も、オリコンチャートに入って来た。


学校が終わると、この二人はテレビ、ラジオ出演と忙しい。


香菜も学校では一目置かれるようになっていた。


周りからは、そう..、少し前のはやり言葉で、カリスマ的存在になっていたのであった。


香菜は自分の通っている高校でも昼休み、放課後になると、サインを求める生徒達、


聡の話を聞きに来る女子生徒達や、音楽室からギターを持って来て、弾かせる生徒、


引かせて歌う生徒達と、すでにアイドルであった。



だが良い事ばかりではなかった。


多数ではないが、顔立ちが良い聡に対し、香菜にやっかみを持つ女子生徒も現れていた。


聡の女性の噂を立てたり、香菜の言語の指摘もされていた。


そんな中、少数では遭ったが、授業の合間に取材に来る記者も居た。


学校側も元々アイドルではないので、どう対処して良いか少し困っていた。



そして放課後…。


香菜は放課後、学校でのアイドル勤めを終えて、下駄箱で靴を履き替えていた。


数人の下級生の女子生徒が、香菜所有の下駄箱の裏で、聡の噂を交わしていた。


女子生徒、「風間君、前に付き合っていた彼女の他に、告っていた、タメの女が居たんだって」。


「へー、同じ学校の?」。


「そー、それでー、その人と川坂さん、二股掛けているじゃないかって、


中学の時の友達で、城南通っている子が言ってた」。


それを耳にした香菜は、その場から駆け出して行った。


噂をしていた下級生達が、呆然とその姿を見つめていたのであった。


聡達の放課後..


もう時は、五時を回っていた。


聡は授業が終わり、香菜にメールを入れたが、返事がまだ無かった。


聡、独り言で、「あれ..、今日は授業何時もより早く終わると言っていたのに..」。


廊下を歩きながら携帯を見て、呟いていた。


斉藤と恵美が、「お先」と、継げて帰って行った。


その時恵美が、聡を見つめた。


恵美、「なんか遭った?」と、尋ねると聡は、「いや別に、香菜からメール待っているのだけどさ」。


恵美がその時何となく、「あ..あの..あんまり気にする事じゃないけど、


香菜ちゃん感受性強いから、女性関係に気をつけて」。


そう告げて、斉藤と去って行った。


聡は、そう言われると、少し考えたが、今、疑われるような女性関係は無く、


首をかしげて、階段を下りていった。


学校を出て何気なく歩いていた、喉が渇き、音楽雑誌も欲しくなり、


学校近くのコンビニへ立ち寄る。店内に入ると、音楽雑誌を読み始めた。


すると、大きく自分達の記事が取り上げられていた。


その雑誌を持ち、店内の奥に行き、ドリンクフリーザーの扉を開けて、


三百ccのペットボトルを掴んで、レジに向かうと同じ制服の女子生徒がレジに並んでいた。


その女子生徒が、何気なく後ろを振り向いた。


それは二年の時の同じクラスの、西島玲子であった。


聡は、「ああ、久しぶり」。と、挨拶をすると玲子も、


「本当、同じ学級だけど、科が違うと会わないよねぇ~」。


聡、「ああ、そう言われれば」。


二人はコンビニを出ると、話しながら歩いていた。


玲子、「凄いね、今有名だよ、」。


聡、「いや..今だけだよ、長く続けるつもりはないんだ」。


玲子、「あの時ごめんね」。


聡、「何が?」。


玲子、「手紙」。



この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。

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