第十八章、感謝4
避雷針から..ファーストラブ オリジナル
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あくる朝、香菜の部屋で一緒にベッドで寝ていた聡、自分の携帯の着メロが鳴る。
腕枕をしていた香菜の頭から、腕をそっと抜いて香菜の机に置いてあった、
携帯を手にとって開き、着信暦を確認すると真からだった。
真、「朝から悪りー」
聡、眠い目を擦りながら、部屋の時計に目をやると、十時を過ぎていた。
聡、「別に、気にしなくてもいいぜ!」。
真、「さっき美紀さんから、電話有って、オリコン急上昇したとさ」。
聡、「マジかよ..」。
真、「それで、福祉団体からも電話来て、聡、公演して欲しいとさ!」。
聡、「どう言う事?」。
真、「詳しい話は美紀さんに直接聞いてくれ、美紀さん、
香菜ちゃんに変な気、起こさせたくないから気使って、
お前の携帯に直接電話、しなかったのだと」。
聡、「ああ、解った!、とにかくデリックの美紀さんの、オフィス行ってってみるよ。
わざわざ、連絡してくれてすまん!」。
真、「ああじゃー、また、連絡くれ」。
聡は、電話を切り、携帯を机に置き、振り向くと、
ベッドにパジャマ姿の香菜が腰掛けて、聡を見ていた。
聡、「ああ、ごめんな」
香菜は、聡を見つめながら、小さく首を振った。
聡は、香菜の前に来てかがみキスをした。
聡、「オリコン急上昇だってさ」。
香菜が微笑んだ。聡は香菜の横に座り、優しく抱きしめて、
「福祉団体から、公演の以来んだとさ」。聡の脳裏に(私、障害者なんだよね)。
聡は、「あんまり、考えすぎるなよ、ちょっとしゃべるの下手と言うだけだ、
仲間内は大概理解しているだろ..」。
香菜は覚束ない眼差しで、小さく頷いた。
そして美紀のオフィスに出向いた、もう時はすでに、昼十二時を回っていた。
美紀が、「オリコンチャート上々よ、新人にしては優秀よ!」。
安部が書類をまとめながら、「珍しさも煽っているな、その年代で、
女性の曲を、しっとりと歌う歌手は、今まであんまり聞いた事無いし。
増してや女性がギターを弾いて、男性が歌う形も珍しいから」。
聡、「あまり期待されても困るんで、欲はかきたくないんです」。
安部、徐にタバコに火を付けて、「さすが、元売れっ子ボーカリスト、
落ち着いているな、普通のアーチストなら舞い上がるのに」。
美紀、何時もの格好で足を組み直して、「色々遭ったのよね、それで自分も反省したし..」。
聡、「ええ、これも俺一人の力じゃないし、皆なの力でここまで来たし、
美紀さん、阿部さん、クラウのメンバー、他の関係者が助けてくれたお陰です。
何より俺にとっては…」。
美紀、「そうね、貴方の大事な人が、貴方を大人にしてくれたのよね。
私も間接的ではあるけど、同じよ!」。
美紀と、安部は微笑んだ。
ここのスタッフが、オフィスに入って来て、一枚の書類を美紀に渡した。
美紀は軽く、「有難う」。
そう答えて、書類を見た。
すると、「うーん」と、何気なく呟き口元に指を添えて、
「サプリのCD売り上げ、週ランキング、八位よ」。
安部が、「ほー、すごいなー!」。
美紀 、書類を安部に渡した。
安部、「これだけの大物アーチストを並べて、先週38位から、
今週いきなりのベストテン、8位か..」。
そう言って、聡に書類を渡した。
聡と香菜は、その書類を眺めていた。
二人は、顔を見合わせて微笑んだ。
美紀、「聡君この間のFMラジオの出演で、耳が不自由な方からメール来て、
『是非 貴方のその聴覚と、言語の理解力を学びたいのですが..』と、耳の不自由な方と、
盲学校の関係者達から、公演の以来が届いたの、どうしようか?
それで、ちょっと話が有るのだけど..」。
聡は躊躇った。まさか本当の事は公演を開いても、告げる事が出来ないので有る。
言ってしまえば、今後私生活に影響が出てしまう。
まだこれからと言う時に、香菜をサポートしなければならないのに。
美紀が、「その話は、断っておくわ!」。
聡は、「へ..!いや..あの..」。
美紀が、ウインクをした。
聡が“はっ”と気が付いた。
先週恵美と食事をしたと、言っていた事を思い出した。
安部が、「別に断る理由無いだろ?」。
美紀、「聡君は事前にしゃべる事を、アナウンサーと、打ち合わせしていたのです!」。
安部がそれを聞いて、ぼーっとしながら、「あ..そうなんだ..」。と、呟いた。
今一、その話が煮え切らない表情で、首を傾げていたのであった。
聡はそんな美紀の優しさに、悪い事をした行いを反省するのであった。
美紀は聡の表情から、それを感じて微笑んだのであった。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




