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第十七章、ある夏の記憶

避雷針から..ファーストラブ オリジナル

http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1498311.html


聡は携帯の待ち受け画面を見た…7月26日PM1時30



ご乗車有難う御座いました 次の停車駅は、終点新逗子、新逗子です。


どなた様も忘れ物が無い様、ご確認してください



夏休みに入り、聡、香菜は、海を見に、神奈川県の逗子、鎌倉方面に向かった。

 

香菜はストライプブルーのワンピースに、何時ものポシェットを腰につけ、


聡は白いTシャツにショートのチノパンを履き、京浜急逗子線に乗っていた。


駅に着くと、香菜の手を引きホームに降り立った。


夏の日差しが眩しく、香菜は日差しを手で覆った。


蝉の鳴く声が激しく、夏のひと時を感じさせる、一つの要素を引き出していた。


二人は駅を後にすると、バスに乗り逗子海岸方面へと向かった。


海岸の近くの、葉山と逗子の間に有るバス停、鐙摺あぶずりで降りると、逗子海岸に向かって歩き出した。


公園沿いを歩き、カーブを曲がると。


そこには大勢の人達が、海を満喫していた。


二人は、海岸沿いの道を歩いていた。


どのくらい歩いただろうか、二人は手を繋ぎ、夏の暑さに凌ぎもしないで、


海岸線の舗道を歩いていた。


すると、少し坂になっていた所に古びた、外国の黄色いバスが置いてあった。


そこから、海岸線が一望できた。


そのバスの横で、聡がしゃがみ、海を見つめていた。


香菜は風に靡く長い髪を押さえ、聡の隣にしゃがんだ。


波打ち際ではしゃぐ若者達。海上に浮かぶウインドサーフィンは、地平線を覆うようであった。


二人はそれを見つめていた。


聡「久しぶりだ、海なんて..」。


聡の脳裏に(昔、住んでいた所、海の近くで、お父さん、


仕事の合間に、よく海に連れて行ってもらった。


お父さんもそうやって、よく海を見つめていた)。

 

聡、「なー香菜、俺達結局、売れたとしても、同じ事を繰り返すんだよなきっと...」。


香菜、聡の横顔を見つめた。


聡、「同じ繰り返しなんてもう御免だ、代償が命なんて余りにも惨いよな」。


聡の脳裏に(同じ失敗は、繰り返さないよ、きっともう皆も解っているよ)。


聡、「皆はそうかも知れない、でも成功した代償に、身代わりが怖いんだ、


必ずまた何かを失う事になったとき、俺は、香菜を失うのが怖い..」。


そう言うと、立ち上がった。


聡、黙って海を見つめていた。


香菜も、立ち上がり、海を見つめた。


聡が香菜に振り向き、「香菜、南の国に行こうか..」。


香菜、「へ..」。


聡、「もし売れたら、お金貯めてお母さん連れて、


俺、向こうで設計の仕事営むつもりなんだ。でも本当の気持ち、


俺は別に売れなくてもいいだ」。


香菜は、その問い掛けに、「ひひお、はとひふんほなら、


ほへおひひへふへうお」(いいよ、聡くんとなら、何処でも生きて行けるよ)。


そして聡は、香菜を見つめ、徐に抱きしめた。


風に靡き、顔に被さる髪を、聡は指で香菜の耳に掛けて、


「俺、本との気持ちは、香菜が居ればいいんだ、


別に売れなくても…。香菜との暮らしが有れば、


俺は、ありふれた生活が出来れば、他に何も欲しくない。


その方が今までの様に、仲間は穏やかで居られると思う、香菜…卒業したら、結婚しよう..」。


聡は、キスをした。


香菜は眼を瞑り、涙が瞼から溢れ出した。


今まさに、香菜は万感の思いを、かみ締めたのであった。涙が潮風に靡いて飛んで行く、


香菜の涙は潮風に運ばれ海へ解けて行く。 心の友からの、最高のプレゼント。


それが今、香菜の心に届けられた瞬間だった。


プレゼント   作詞 川坂香菜

(Shiny Pastel Moon)



貴方から思い掛けないプレゼント、


もう戸惑いも躊躇いも脱ぎ捨てていい


貴方に会えて良かった


それは愛する人からの最高のプレゼント


貴方のくれた箱の中には


最高の物語が詰まってた


この海に浮かぶ小船に乗せて


あなたと浮かびたい


このプレゼントと共に


沖の島で箱を開けると


二人だけの夢が詰まってた


それはかけがえの無い


あなたからの愛が込められていた。





何時か無くして泣いていた


私の大事なものが入ってた


愛、温もり、思いやり..


Thank you for the highest present


貴方から与えられる事を夢見てた


However, the one that wants really be you


それは私の心の鍵


厚く閉ざされた扉の心の鍵を


私にくれたマイエンジェル


誰もが夢見る心の鍵をくれた人


時の狭間に落ちた鍵


それを探し与えてくれた人


解き放ったハートが踊った







お返しは何がいいと答えたら


私の腕にリボンを付けた


さらって欲しい抱き上げて


今すぐにでも..この海の遠く彼方へ..


あなたとなら何があろうと構わない


貴方が居たから私はここに居る


この広い海に佇んでいる


私の心はあなたと共に遠い海の彼方へ..




聡は、香菜の顔を見つめ、香菜の左目にキスをした。


そして、香菜の涙を口に付けた。


聡、「俺にくれたプレゼント、それは香菜の涙、俺のために流してくれた涙だ..」。


香菜は、小さく頷いた。


聡、「こんなに心から、人を愛したのは初めてだ。今までただ浩二から奪いたくて、


無造作に恵美を犯したことも有った。でもこんなにまで愛する事は一度も無かった」。


聡の脳裏に、(欲望だけで抱かれてももいい、私の側に居てくれるのなら、


そう思った事も有った。でも聡君は私を壊さなかった。私の心も同時に。


今まで街に出て、いたずらな視線に戸惑い避けて来た。


欲望だけの恋はしたくなかった。一時の営みだけだから、だから、私は守って来た。


最初は聡君怖かった。私の心を読めるなら、私を壊す事も出来るから、


でも恵美さんが言うとおり、そんな私を大切にしてくれた、


もう迷わない、あなたにすべてを捧げるの)


聡、その時「こうなー」と、叫んで満身の思いを込めて抱きしめた。


壊れるくらい、息が出来ないくらい。今、聡も万感の思いを込めて、


その思いを香菜にぶつけた、何度も何度も「愛してる愛してる、


離さない、何があろうと離さない」と、呟いて…。


 

夕暮れが海岸線を覆う頃、人も疎らになっていた。


二人は波打ち際に座っていた。


香菜は聡の腕の中で、目を瞑っていた。まるで幼い子が、父親に抱かれて眠るような眼差しで。


聡、「なあ、香菜…」。


香菜、「うん..」


聡、「もし..、神の定める日が来た時、俺達二人で、天から降り注ぐ稲妻に身を捧げような」。


香菜、「うん、ほほふおひはお」(うん、そのつもりだよ)。


聡は香菜の頭を抱え、自分の胸に埋めた。


聡、「靴を履いて…」。


香菜、「はとひふん、ははひ、ひあへ、ふほふ、


ふほふひあはへ、ほほはは、へんほふひ、ひひはい」


(聡君幸せ、すごくすごく、幸せ、このまま、天国に行きたい)。


聡は香菜の頭に頬を付けて、「ああ、でもお母さん一人にしたら、かわいそうだろ」


香菜、「うん、ほうはえ」(うん、そうだね)。


香菜は聡の温もりを、何時までも欲しがるように、聡の胸の中で頬をこすり付けていた。


二人育む愛の行方は、今、安らぎに変わる。


愛、それは、お互い解りあって行く事


互いの思想を


互いに認め合い


互いにそれを、暖め合い、壊さぬよう...


互いに守るもの。


互いに思いあう心


それが..恋愛。


夏の暖かい潮風が、二人を優しくしく包む渚..


青春の一章説を演じているかのように。


地平線に夕日が沈むまで、聡は香菜を抱いていたのであった。


聡は携帯の待ち受け画面を見た7月26日PM9時30


次は品川、品川です。


聡達は、香菜の家に足を運んだ、今宵二人の夜が、


愛を演じるられる様に、夜の空模様が穏やかである事に祈りを..。




この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。

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