第十二章 デビュー
避雷針から..ファーストラブ オリジナル
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渋谷道玄坂のスタジオ、ドレッソにて...
四月の初め、春休みも半ばを過ぎていた。
夜久しぶりに、仲間達が借りていたスタジオに、香菜と聡は出向いていた。
支配人の大崎が、レコーディングフロアーのミキサー室の椅子に座り、
この二人も後ろのソファーに腰を下ろしていた。
大崎、「なるほど、急展開だな!」。
聡、「この形でやってみようと思って」。
大崎、「まーさ..いきなりプロ目指そうって訳じゃー無いだろうし、
バンドの時のCDの売上金、多少は貯めて有るんだろうから..」。
聡、「えー、他であんまり遊ばないんで、宣伝用くらいの枚数だったら楽勝です!」。
大崎、「数宣伝すりゃーいいてもんじゃないしな、様は中身だ。それはどのアーチストでも同様だ」。
聡、「俺もそうう思います」。
大崎、「真、あいつしゃにむに、ドラムス探していたぞ!
お前ら売れていたからな!クラウ終わりにしたくない気持ちはわかるが..」。
聡、「あいつにも、小百合にも、迷惑掛けています。俺達の事も、納得してくれたみたいで..」。
大崎、「バンドなんて今は、形だけで実際楽器も打ち込みで行けるし、
ドラムもメカにやらせる事出来るからな。ビジュアル系とは良く言ったもんだ!」。
聡の脳裏に(高くて買えないけど、すごく華麗な音色がする..)
香菜を見ると、ソファーの横に立掛けて有った、アコースティックギターを見つめていた。
聡はそれを見て何気に立ち上がり、そのギターを持って香菜に渡してあげた。
香菜はそのギターを持って、肩にベルトを掛けた。
聡は優しく、「弾いてごらん..」。問いかけると香菜はさり気なく、
”ポロロン”と、親指で弦を撫でて、ボサノボを引き始めた。
♪ザッザッザー、ザッザツタタラ、ザッザザツタラと、軽快に弦を指で走らせた。
大崎が、香菜に注目した。
軽快にボサノバを弾き語る香菜に、自然と椅子に座りながら、足でリズムを打っていた。
香菜は調子に乗って来るに連れ、右手親指のなだらかな動と、他の指の俊敏さ。
お互いの指の個性が、まるでお互いの仕事を熟知しているかの様だった。
軽快に走らせていた指がスローになると、最後に♪パララランと、全部の指を使い弦を払った。
大崎は、「お見事!」と、それを見てパンパンパンと拍手した。
香菜は笑みを浮かべて会釈した。
大崎、「お前らぁー!誰かに言われなかったか?何か不思議魅力を感じるって..」。
聡、「いや..別にそんな事は..」。
大崎、「この子のが作った詩を仲間が曲を付け、この子がギターを奏で、聡が歌う。
まさに天が与えた、シチュエーションだな!あはははは」。
二人は顔を見合わせて微笑んだ。
大崎、「レコーディングは、神崎(小百合)が、音仕上げてからだ?」。
聡、「真が詩に手を加えて、編曲してからになります」。
大崎は聡を見つめ、改めた面持ちで、「俺がスタンドで言った事、解った様だな、
俺の言いたかった事はそれだ!お前らに解って欲しかった。
一人で悩んでいても、解決の糸口は掴めない..。
仲間内で起きたトラブルは、バンドの皆で解決して行かなければ、また同じ事だ。
それだけじゃない、この子がお前を変えた!
それに連れて、仲間も穏やかになった。まさに…天使だな!」。
聡は大崎のその一言が、誰よりも偉大な人の言葉に、聞こえたのであった。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




