第十一章、バックアップ5
避雷針から..ファーストラブ オリジナル
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二人は電車を乗り継いで、たどり着いた所は明治通り。
腕を組んで寄り添い、歩いていた。
そして相変わらずの人込み、ふと二人は足を止めた。
そこは、二人が始めて出会った場所だった。
香菜がここで汗を拭かなければ、出会う事が無かった場所に、二人は佇んでいた。
聡が、「今日は携帯落とすなよ~!落としても探してやらないから..」。意地悪そうに答えた。
そう言うと香菜は、「ひひお、はとひふんの、はひうおん!」(いいよ、聡君の借りるもん!)。
聡、「えー..誰が貸すって言った?」。
香菜は少し脹れた。
そんな香菜に聡は、微笑みかけた。
そうやって少しからかって、この場を後にした。
そして二人は、ハンバーガ屋の前で佇んだ。
相変わらずの混雑振りで、並んでいる人が、入り口まではみ出していた。
聡、「だめだこりゃー」。
香菜、「はめはこあー」(だめだこりゃー)。
二人は微笑んで聡、「こんなの待っていたら、腹空きすぎて倒れるぜ!」。
香菜、「ほかほほこひほは..」(他の所行こうか..)。
聡、「それが良い選択だ!」。
そう言って二人はここを諦め、また歩き出した。
何となく通りを歩いていると、餃子を焼いた匂いがした。
二人は同時に、「ラーメン食べようか!」。意気投合した。
ふと前方を見ると、看板が出ていた。
店の中をガラス越しに見ると、疎らに席が空いていた。
それを確認して、ラーメン屋の戸を開けた。
店内に居た、複数の従業員の威勢のいい声が走る、「いらっしゃーい!」。
ちょうど奥のカウンター側の椅子が、二つ並んで空いてた。
聡は香菜を、店の奥に先に行かせ、聡はその後ろを付いて行った。
二人は席に着くと、すぐさま二人の前に水が置かれた。
聡は置かれていたメニューを手に取り、二人で見ていた。
聡は、「んー..俺、醤油とチャーハン食べたいけど、ちょっと多いな!」
香菜、「はたひ、はんふんたへうお」(私半分食べるよ)。
聡、「じゃー、そうするか、ラーメン食べる?」
香菜、「はたひほ、ほうへひひお」(私も醤油でいいよ)。
聡は近くに居た店員に、「済みませーん!」。
店員、「はい、どうぞー!」
聡、「えーと、醤油ラーメン二つに、チャーハン一つで..」。
店員、「以上で?」。
聡、「お願いします」。
店員「醤油二つに、チャーハンいっちょー」。
と大きな声で叫ぶと、周りに居た従業員も、「はーい」と、威勢良く掛け声が走った。
二人は出来るまでの時間、何かを楽しそうに話をしていた。
香菜、「わはひは、はひはふは、はとひふんは、ふはうお、へへふはい!」
(私が、書いた歌、聡君が歌うの、照れくさい!)。
聡、「俺も、香菜が書いた歌、歌うの照れくさいなー..」。
香菜、「ふふ」と、眉間に皺を寄せて微笑んだ。
香菜、「わはひ、ひわあへ」(私、幸せ)。
香菜がそう言うと、聡は香菜の頭をそっと抱えて、自分の胸にあてた。
二人は今、青春を桜花する日々を過ごしていた。
(作者から)
人は皆..互い足りない何かを補い、それをお互い庇い、
生きて行くで有ったであろう、お互い自分に足りない何かを互いに補う事で、
互いに価値が生まれて来たので或る。そのバランスが崩れた時、憎み合い離れて行くのだろう。
今、現代に必要な物は、互いに理解しあう事。独り善がりが孤独を誘うので或る。
だが今の社会では、自分の要求だけを人に押し付け、
人の考えを理解しようとする術は、薄れているような気がする。
その訳は、一人遊びが出来る環境を、社会が作り続けた結果である。
例えばテレビ。一家に一台しか買えなかった時代、番組の選択項目が少なかった時代、
プロレス、野球、マンガなど興味が無くても、家族全員で分かち合った時代。
時が過ぎ、個人で一台ずつ所有出来る様になると、次第に家族の思想がすれ違う。
同じ年代同士だけで語り、理解が出来ぬ親、祖父母との会話が途切れる。
現在の社会思想は、友達同士でも腹を割って話す事なども無く、
表面的な知り合いとの付き合いが殆どで、夫婦ですら同じ屋根の下に住んでいても、
互いの意思疎通が取れず、離婚に発展するのは、こうした原因が多く掲げられています。
多様化が社会現象になると、個人的理屈でお互いぶつかり合う。
次第に独り善がりが個人個人強調されて行くと、他人は他人、
自分は自分と、分け隔てが出来てくる。それがオタクと言う、根本的なイズムだと思います。
だが今は、日本人の殆どが、これに当てはまる様な気がします。
人に思いやりが無い事が、悲惨な事件を巻き起こす現代。
何時、自分に降りかかって来るかも知れないので或る。
従ってまさに現代社会では、罪を犯す者は情け無用、残虐な犯罪を犯します。
次第に友人、知り合い、親なのどは、利用価値で考えるようになると、
その者達同士の殺人が、増えて行く結果となりました。
ただ..そんな悠長な事を言っている事が出来ない、現代社会です。
この二人は、互にラーメンを食べ、互にラーメンに付いて来る蓮華で、
同じチャーハンをほお張り、その蓮華でラーメンのスープを飲んでいた。
そんな何気ない事が、幸せと思えた二人だった。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




